インフルエンサーマーケティングのよくある失敗事例15選|失敗を避けるコツも紹介

成功への最短の近道は、失敗から学びを得ることです。

そこで今回は、インフルエンサーマーケティングの失敗事例についてご紹介していきます。

失敗した企業はどのような悪影響を被るのか、リスクを避けるコツなども解説していますので、ぜひ参考にしてください。

インフルエンサーマーケティングの失敗リスクは?

さまざまなジャンルの企業がインフルエンサーマーケティングで実績を挙げている通り、その有効性は疑いようもありません。

その反面、たった一度失敗してしまっただけで、企業は以下のようなリスクに晒される可能性があるのです。

  • 消費者からの信頼を失う
  • マイナスイメージが定着する
  • 売上が低下する
  • 損害賠償金の発生
  • 企業活動の停止に発展することもある

ここからは、上記の5項目について個別に解説していきます。

ちなみに失敗事例ではなく、成功事例から攻略法を見つけたいという方は、以下の記事を参考にしてください。

消費者からの信頼を失う

視聴者がPR投稿を見て購買意欲を刺激されるのは、一重にインフルエンサーを信頼しているからです。

にもかかわらず、以下のような騙し行為を行った場合、「消費者を欺いて売上アップを狙っている悪徳企業」と見なされ、これまで積み上げてきた信頼関係が一気に崩れてしまいます。

  • 「やらせ」など、ステマに該当する
  • 「#PR」や「#ad」など、広告であると明示していない
  • 商品の品質や効能を、実際よりも大袈裟に誇張している
  • コスメや健康食品系のPR投稿で、薬機法に抵触している
  • 個人の感想を、エビデンスを伴う事実だと断定している
  • ライバル企業の商品を、不当に酷評している

とくにSNSは拡散力が高いうえ半永久的に痕跡が残るため、一度失った信頼を取り戻すのは至難の業です。

マイナスイメージが定着する

世の中に対する影響力の大きさは、インフルエンサーの最も強力な武器であると同時に、弱点にも成り得ます。

担当のインフルエンサーが不祥事で炎上した場合、その人材を起用した企業のイメージまで失墜するリスクを孕んでいるのです。

実際、たった一度の不適切な手法によって「信用できないブランド」というイメージが定着し、市場から撤退を余儀なくされた事例も少なくありません。

ブランド全体の売上が低下する

インフルエンサーマーケティングに失敗して売上が低下するのは、該当の商品だけとは限りません。

信頼の失墜やマイナスイメージはブランドそのものに紐付くため、企業全体の業績悪化に繋がる可能性が高いのです。

たとえ該当の商品をリコール(自主回収)したからといって、悪評の余波がブランド全体の売上低下を招く流れを完全に防ぐことはできません。

損害賠償金の発生

インフルエンサーマーケティングに失敗した結果として、損害賠償金を請求されるケースがあります。

2020年当時、約300万人ものフォロワーを獲得していたYouTuber「てむちん」さんは、自身がプロデュースしたナイトブラ「モテフィット」をバストアップ効果が期待できるとSNS上でPRし、大きな反響を得ていました。

しかし、豊胸手術をしていたことが発覚して大炎上し、約2万人の購入者に対して返金を行い、その総額は実に3億円以上にものぼったのです。

さらに2024年8月現在、販売元から説明義務違反として数億円の損害賠償を求められ、裁判の結果次第では自己破産する可能性があると告白されています。

このように、損害賠償を伴う不祥事は数年にわたって世間を賑わすだけでなく、責任の所在を巡ってインフルエンサーマーケティングと企業間で泥沼の裁判に発展するケースもあるのです。

上記の失敗事例ではインフルエンサーのみが損害賠償を請求されていますが、消費者が集団裁判を起こす場合は企業が対象になる可能性も十分にあります。

とくに以下のようなケースでは、企業は消費者から損害賠償を請求されるリスクに備えておかなければなりません。

  • 効果・効能に関するウソ→詐欺
  • イラストや画像などの無断転載→著作権侵害
  • 特定の人物・企業・団体などを誹謗する→名誉毀損

企業活動の停止に発展することもある

インフルエンサーマーケティングに失敗した際の代表的な被害として、企業が活動停止に追い込まれるケースが挙げられます。

とくに「薬機法」や「景品表示法」はインフルエンサーマーケティングとの関連性が深く、抵触した場合は法的に以下のようなペナルティを受けるため注意が必要です。

薬機法の罰則景品表示法の罰則
▼第75条の5の2
課徴金納付命令の対象となる
▼第85条
2年以下の懲役または200万円以下の罰金
▼第7条
景品表示法違反の不当表示を行った場合、消費者庁の措置命令
▼法第36条第1項
措置命令に違反した場合、2年以下の懲役または300万円以下の罰金
▼第8条第3項
優良誤認表示・有利誤認表示をした場合は、課徴金納付命令

上記のように法令に抵触した企業は、消費者からの信頼を失うのはもちろんブランドイメージが著しく低下し、場合によっては活動停止に発展する可能性もあるのです。

インフルエンサーマーケティングのよくある失敗事例15選

この章では、インフルエンサーマーケティングのよくある失敗事例として、以下の16ケースをご紹介していきます。

  • 失敗事例1:インフルエンサーの選定ミス
  • 失敗事例2:コンテンツ内容の質が低い
  • 失敗事例3:エビデンス不足
  • 失敗事例4:過度な自社宣伝
  • 失敗事例5:PR投稿の乱立
  • 失敗事例6:不適切なハッシュタグの使用
  • 失敗事例7:オートメーションの悪用
  • 失敗事例8:ギフト型報酬の不正
  • 失敗事例9:ステマの発覚
  • 失敗事例10:複数アカウントの管理ミス
  • 失敗事例11:偽アカウントの使用
  • 失敗事例12:モラル・ITリテラシーの欠如
  • 失敗事例13:プライバシーの侵害
  • 失敗事例14:インフルエンサーの炎上トラブル
  • 失敗事例15:顧客対応の不備
  • 失敗事例16:インフルエンサーマーケティング代理店の選定ミス

順番に解説していきます。

失敗事例1:インフルエンサーの選定ミス

インフルエンサーマーケティングの失敗事例で最もありがちなのが、PRを依頼する人材の選定ミスです。

具体例として、以下4つのケースが挙げられます。

  1. 商品のターゲット属性とインフルエンサーのフォロワー属性が一致していない
  2. ブランドイメージとのミスマッチ
  3. インフルエンサーの方が商品よりも注目される
  4. インフルエンサーの特性が目的と一致していない

人材の選定ミスはインフルエンサーマーケティングにおける致命傷であり、プロモーションそのものを台無しにする要因です。

ちなみに4番は、女性向けスキンケアのタイアップ案件を男性インフルエンサーに依頼する、売上アップが目的なのにエンゲージメント率が低い著名なメガインフルエンサーを起用する、といったケースが該当します。

なお、インフルエンサーの正しい選び方については本記事の後半で改めて解説しておりますが、以下の記事もあわせてご一読ください。

失敗事例2:コンテンツ内容の質が低い

コンテンツの内容が以下にあてはまる場合は、視聴者に「低品質」という印象を与えてしまい、期待通りの成果は得られません。

  • あからさまなPRなど、通常の投稿よりも広告感が強い
  • 日頃の投稿とはテイストが異なっており、インフルエンサーの個性が活かせていない
  • 企業が素材を提供した結果、画像や動画のクオリティが通常投稿のレベルを下回っている

フォロワーは、「通常投稿」と「PR投稿」の違いを敏感に察知します。

インフルエンサーのオリジナリティーが損なわれないよう、企業側の指示は最低限にとどめるのが成功の秘訣です。

失敗事例3:エビデンス不足や過剰表記

明確なエビデンス(証拠・根拠・証言)も無いのに以下のような情報を発信するのは、不正行為に当たります。

  • 効果を保証するなど、断定的な表現
  • 実際の効果・効能・機能を上回る評価
  • ウソ・大げさ・まぎらわしい表現

一般的なインフルエンサーの投稿はあくまで個人の感想であり、口コミに過ぎません。

たとえインフルエンサーが有資格者であっても、商品の品質や使用後の結果を保証することはできないのです。

内容に明らかな虚偽が含まれている場合は、薬機法や景品表示法のペナルティ対象となるため、投稿前にコンテンツを精査するチェック体制を整えておきましょう。

失敗事例4:過度な自社宣伝

以下のような過度な自社宣伝も、インフルエンサーマーケティングの代表的な失敗事例です。

  1. 競合サゲ、自社アゲする投稿
  2. 企業の課外活動や社会貢献などを、日記のように頻繁に投稿する
  3. 商品ではなく、企業の実績やスタッフ紹介の連載投稿

インフルエンサーのタイアップ投稿は、企業が伝えたい情報ではなく、ユーザーにとって有益な情報をメインにするのがセオリーです。

1番が禁じ手なのはもちろん、2番と3番も企業の公式SNSアカウントやアンバサダーの活動内容としてなら多少は有益ではあるものの、インフルエンサーマーケティングとしては不適切と言えるでしょう。

失敗事例5:PR投稿の乱立

タイアップ案件率が高過ぎるのも、インフルエンサーマーケティングにおける失敗事例の定番です。

たしかに、人気の高いインフルエンサーは企業にとって魅力的ではあるものの、通常投稿数を上回るほどPR投稿を連投すると、ビジネス傾向が強すぎると判断されてフォロワーから信頼され難くなってしまいます。

また、複数のインフルエンサーを起用する際は、全員が良質なコンテンツを維持できるよう、企業側が管理できる人数に留めておきましょう。

失敗事例6:不適切なハッシュタグの使用

以下のように、故意・過失を問わず不適切なハッシュタグの使用も、インフルエンサーマーケティングのよくある失敗事例です。

  • コンテンツの内容とは無関係のハッシュタグを設置する
  • 人気のハッシュタグを乱用する
  • ネガティブ要素の高い、不快感を与えるハッシュタグの使用

SNS上では、いわゆる「釣り目的」でネガティブ要素の高いハッシュタグを意図的に使用しているケースが見受けられますが、これは企業とインフルエンサー両方のイメージダウンに繋がる危険な行為ですから、おすすめできません。

失敗事例7:オートメーションの悪用

オートメーションツールは、アカウント運用の自動化に役立つ便利な機能ではある反面、以下のような使い方をすると「悪用」と見なされ兼ねません。

  • 「フォロー」や「いいね!」数を自動的に稼ぐ
  • 大量のDMを自動送信する
  • コメントに対する返信を、チャットボットのみで行う

とくにInstagramでは、ツールを使った「フォロー」や「いいね!」が禁止されているため、注意が必要です。

失敗事例8:ギフト型報酬の悪影響

ギフト型報酬とは、インフルエンサーにPRしてもらう対価として、金銭ではなく自社商品を提供するマーケティング手法です。

コストが抑えられるというメリットから多くの企業が実施していますが、以下のようなリスクも軽視できません。

  • 転売によって「商品価値」が低下する
  • PR投稿が乱立して「消費者の購買意欲」が低下する

失敗事例9:ステマの発覚

インフルエンサーマーケティングの失敗事例で最もメジャーなのが、ステマ(ステルスマーケティング)です。

ステマとは、消費者に対して宣伝であると告知しない、または気づかれないように工作する行為を指します。

いわゆる「サクラ・やらせ・なりすまし」といったステマが発覚し、活動休止に追い込まれたインフルエンサーや大損害を被った企業も珍しくありません。

「提供」を明記する、あるいは「#PR」を設定するなど、視聴者が一目で宣伝だと認識できるように配慮する必要があります。

なお、ステマ規制やインフルエンサーマーケティングの正しいやり方については、以下の記事を参照してください。

失敗事例10:偽アカウントの使用

インフルエンサーのPR投稿に対し、偽アカウントを使って以下のような行為を行うのは不正行為に該当します。

  • 一般ユーザーを装って「コメント」や「いいね!」を付ける
  • 購入者のアカウントを装って、競合他社より優れていたとコメントする

たとえ一時的に高評価を装えたとしても、実際に成果があがらなければ意味がありません。

失敗事例11:モラル・ITリテラシーの欠如

モラルやITリテラシーを欠いたコンテンツの投稿も、インフルエンサーマーケティングでよくある失敗事例です。

とくに以下のように差別やハラスメントに該当するケースは、ブランドイメージを著しく悪化させます。

  • 人種や国籍に対する差別
  • LGBTQに対する偏見
  • 男尊女卑や女尊男卑
  • 妊婦に対する配慮に欠けている
  • 経済格差を揶揄する表現
  • 災害などアクシデントに対する嘲笑

インフルエンサーマーケティングの主戦場であるSNSは世界中で視聴されているため、グローバル基準のモラルが求められているのです。

失敗事例12:プライバシー・権利の侵害

以下のように、他者のプライバシーや権利を侵害する行為も、インフルエンサーマーケティングの代表的な失敗事例です。

  • 個人情報の暴露
  • コピーコンテンツ
  • 第三者の投稿を無断で転載する

法的にNGなのはもちろん、企業としての品性を問われる行為であるため、あらかじめルール化しておくことをおすすめします。

失敗事例13:インフルエンサーの炎上トラブル

インフルエンサーの発言には、良くも悪くも圧倒的な影響力があります。

たとえ投稿の内容に問題がなかったとしても、プライベートや他の仕事でインフルエンサーが不用意な発言をしたり行動をしたりすると、あっという間に拡散されて大炎上に発展してしまうのです。

インフルエンサーにPR投稿を依頼する際は、「人となり」をリサーチしておくことはもちろん、リテラシー教育やマネージメント管理が徹底されているかどうかも考慮すべきでしょう。

ちなみに、フリーランスよりも事務所や代理店に所属しているインフルエンサーの方が、教育が行き届いている分、炎上リスクは低めです。

失敗事例14:顧客対応の不備

インフルエンサーマーケティングの失敗事例の中で、見過ごされがちなのが顧客対応の不備です。

以下のように誠意を欠く対応では、ユーザーの信頼を勝ち取ることはできません。

  • コメントに返信していない、または返信が遅い
  • 問い合わせのDMを放置している
  • クレーム対応を疎かしている

失敗事例15:インフルエンサーマーケティング代理店の選定ミス

インフルエンサーマーケティング代理店には、それぞれ得意ジャンルや手法があります。

言い換えれば、インフルエンサーマーケティング代理店会社の選定をミスしてしまうと、期待通りの成果は見込めないのです。

自社と同じジャンルでの実績は豊富か、一部のサポートだけを受けたいのか、それとも一連の行程をまるごと任せたいのかなど、まずは代理店に求める条件を書き出すところからはじめてみましょう。

インフルエンサーマーケティング代理店会社をお探しの場合は、以下の記事を参考にしてください。

インフルエンサーマーケティングの失敗を避けるコツ

最後に、インフルエンサーマーケティングでの失敗を予防するコツについてご紹介していきます。

以下5つのリスクヘッジによって、インフルエンサーマーケティングの成功率は劇的に向上するのです。

  • 目的の明確化
  • 徹底した事前リサーチ
  • インフルエンサーの厳選
  • インフルエンサーとの密な連携
  • 代理店への依頼で自社のリソース不足を補う

ここからは上記5つのリスクヘッジについて、具体的な内容を解説していきます。

目的の明確化

インフルエンサーマーケティングの成功事例には、あらかじめ明確な目的(ゴール)を定めている、という共通点があります。

以下は、インフルエンサーマーケティングを展開する主な目的です。

▼インフルエンサーマーケティングの目的

  • 自社またはブランドの認知拡大
  • ブランディング(価値の底上げ・他社との差別化)
  • 売り上げやサービス利用の向上
  • 新規顧客や見込み顧客の獲得
  • キャンペーンやイベントなどの話題性づくり

具体的な目的が決まっていなければ、インフルエンサーに求める条件すらピックアップできません。

徹底した事前リサーチ

インフルエンサーマーケティングの失敗を避ける2つめのコツは、徹底した事前リサーチです。

以下の通り、事前リサーチは「市場調査」と「自社」に分けて行いましょう。

▼市場リサーチ

  • 同業他社の成功事例や失敗事例は?
  • 同業他社が起用しているインフルエンサーは?
  • 同業他社が実施しているキャンペーン内容は?

▼自社に関するリサーチ

  • 自社商品のターゲット属性は?
  • 自社がインフルエンサー候補に求める条件は?

インフルエンサー候補に求める条件については、次の章で後述します。

インフルエンサーの厳選

インフルエンサーマーケティングの成功は、最適な人材を選べるかどうかにかかっています。

そのため、失敗を回避するためには、インフルエンサーに求める条件を洗い出しておく必要があるのです。

具体的には、以下のような条件を参考にしてください。

  • 基本プロフィール:年齢、性別、出身地など
  • キャリア:同ジャンルでの実績、エンゲージメント率など
  • 強み:得意分野、取得している資格、ビジュアル、イラストやアニメ制作など
  • フォロワー属性:年齢層、性別、ライフスタイルなど
  • 投稿内容の傾向:エンタメ性、芸術性など
  • 立場:事務所に所属しているか、フリーランスか

インフルエンサーの選定方法については、以下の記事でも詳しく解説しております。

インフルエンサーとの密な連携

エンゲージメント率の高いコンテンツを投稿してもらうには、企業とインフルエンサー間で密接に連携しなければなりません。

具体的には以下の項目について認識が共有できるよう、意思疎通を図っておきましょう。

  • マーケティングの意図
  • 商材の魅力
  • 旧製品より改善されたポイント
  • 消費者が得られるメリット
  • なぜ「あなた」を選んだのか

代理店への依頼で自社のリソース不足を補う

社内に必要なすべてのリソースが揃っていない場合は、プロであるインフルエンサーマーケティング代理店会社に外注するのも、有効な手段です。

初めて挑戦する企業や現状の成果に満足できていない企業には、すべての行程を丸ごと一任できる「ディレクション型」が、インフルエンサーの選定だけを依頼したい場合は「マッチング型」か「事務所型」が適しています。

インフルエンサーマーケティング代理店会社の選び方や有力候補の情報については、以下の記事を参考にしてください。

まとめ

この記事では、インフルエンサーマーケティングの失敗事例についてご紹介してきました。

何事も「失敗から学べ」と言われている通り、自社・他社を問わず、過去の失敗事例には成功させるためのヒントが詰まっています。

本記事でご紹介した情報を参考に、落とし穴を避けつつ、より安全かつ効率的にインフルエンサーマーケティングを成功させてください。

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