TikTokインフルエンサーマーケティングとは?費用相場や成功事例を紹介
ここ数年、TikTok上で多くのインフルエンサーマーケティング案件を目にするようになりました。
とはいえ、他のSNSに比べて歴史の浅い分、情報が少ないのも事実。
そこで今回は、TikTokとはどのようなプラットフォームなのか解説したうえで、TikTokでインフルエンサーマーケティングを成功させるための情報をご紹介します。
目次
TikTokのインフルエンサーマーケティングとは
TikTokにおけるインフルエンサーマーケティング(influencer marketing)とは、TikTokの投稿者の中でもとくに影響力のあるインフルエンサーに、企業が自社のブランド・商品・サービスなどのPR活動を依頼するSNSマーケティングの一種です。
ここからは、TikTokにおけるインフルエンサーマーケティングについて以下の5項目に分けて解説していきます。
- TikTokの基本情報
- TikTokユーザーの平均年齢は36歳
- TikTokインフルエンサーの種類
- TikTokのエンゲージメント
- 施策の主な種類
では早速、それぞれの項目について個別に見ていきましょう。
TikTokの基本情報
TikTok上でインフルエンサーマーケティングを実施するなら、まずはTikTokがどのようなSNSなのか、特徴を把握しておく必要があります。
TikTokとは、最短15秒~最長3分までのコンテンツを投稿することができる、ショート動画に特化したプラットフォームです。
以下の月間アクティブユーザー数からも分かる通り、TikTokの人気は日本国内だけでなく、世界中で実証されています。
- 国内月間アクティブユーザー数(MAU):1,700万人 (2021年8月時点)
- 海外月間アクティブユーザー数(MAU):10億人以上(2021年9月時点)
最長60秒までの動画ならTikTokのアプリ内で編集・加工ができるのも、世界150ヵ国以上で普及している理由なのでしょう。
最初からアプリに搭載されている機能だけで、音楽やエフェクトなどを使った本格的な加工が手軽にできる仕組みになっています。
TikTokユーザーの平均年齢は36歳
また、TikTokでインフルエンサーマーケティングを実施する企業にとって朗報なのが、ユーザーの年齢層が変化しているという点です。
TikTokと言えば、長らくメインユーザーが10代~20代という若年層向けのSNSという位置づけでした。
しかし、以下の比較表で分かる通り、全体の国内MAUが2年間で700万も増加しているにもかかわらず、これまでメインユーザーだった25歳以下の国内MAUが5%も減少しているのです。
反対に、25歳以上の国内MAUは2年間で5%も増加しています。
2019年8月 | 2021年8月 | 増減 | |
---|---|---|---|
16歳以上の国内MAU | 約1,000万 | 約1,700万 | 700万の増加 |
25歳以下の国内MAU | 45% | 40% | 5%の減少 |
25歳以上の国内MAU | 55% | 60% | 5%の増加 |
これらを踏まえると、TikTokではユーザー層の幅が30代や40代まで広がっている、という事実が見えています。
つまり、ユーザーの年齢層が広がったことで、TikTokのインフルエンサーマーケティングで扱えるブランド・商品・サービスが増えたのです。
事実、DIGIDAYに掲載された博報堂の調査によると、TikTokユーザーの平均年齢は2023年3月時点で「36歳」という結果が報告されています。
出展:DIGIDAY
なお、「他のSNSと比較してみたい!」という場合は、下記のコラムをご一読ください。
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TikTokインフルエンサーの種類
TikTokを含むすべてのSNSにおいて、企業案件の依頼対象となるインフルエンサーの主な種類は、フォロワー数によって以下の4種類に分けられます。
なお、TikToker(ティックトッカー)とは、TikTok で活動しているインフルエンサーの呼称です。
TikTokでインフルエンサーマーケティングを実施するなら、フォロワー数が多いほどエンゲージメントが低下することを覚えておきましょう。
各インフルエンサーの詳細については、下記のコラムにて解説しております。
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TikTokのエンゲージメント
エンゲージメントとは、コンテンツを視聴したユーザーが起こすリアクションを指しており、TikTokでは以下の6種類が該当します。
- いいね
- コメント
- シェア
- 保存
- プロフィールへの移動
- フォロー
エンゲージメントは、炎上している場合を除き「視聴者の好感度」を表すバロメーターとも呼ばれています。
施策の主な種類
TikTokで行うインフルエンサーマーケティングにはいくつかの施策があります。
ここでは、代表的な4種類が比較しやすいよう、一覧表にまとめてみました。
種類 | 施策の内容 | 適している商材のジャンル |
---|---|---|
ハッシュタグチャレンジ | ユーザーに対し、指定したハッシュタグをつけた投稿を促す | 全般 |
商品ギフティングサービス体験 | 自社の商品やサービスを無料でインフルエンサーに提供し、使った感想を投稿してもらう | 美容、コスメ、ファッション、グルメ、スイーツ、アプリ、ゲーム、家電など |
現地訪問 | インフルエンサーをテナントやイベント会場に招待し、当日の様子や体験談を投稿してもらう | イベント事業、旅行、観光事業、レジャー施設、商業施設、不動産など |
ライブコマース | SNSの生配信サービスを利用して、商品やサービスをリアルタイムで使ってもらい、ユーザーと質疑応答などを行う | 美容、コスメ、グルメ、スイーツ、ファッションなど |
監修・コンサルティング | 商品開発やイベント企画などに参加してもらい、その過程や結果を投稿してもらう | 全般 |
なかでも、「ハッシュタグチャレンジ」世界的に人気が高く、ユーザー参加型のイベントとして多くの事例が報告されています。
短期間でブランドの知名度アップを目指したい企業や、費用を抑えて話題性の高いイベントを全国規模で開催したい企業におすすめです。
TikTokインフルエンサーマーケティングの費用相場
結論から言うと、TikTokでインフルエンサーマーケティングを実施する際、企業が負担する費用は、プロモーションの内容や任せる範囲、どのインフルエンサーに依頼するかなどによって大きく変動するため、「相場」というモノはありません。
ただし、費用の主な内訳は以下の3項目に分かれており、個別に見ていくとある程度の目安を予測することができます。
- インフルエンサーへの報酬
- インフルエンサーに提供する商材費
- 交通費や宿泊費
上記3項目の内、費用の大半を占めるのが「インフルエンサーへの報酬」です。
いわゆるギャラや出演料と呼ばれる経費で、金額は一般的に「フォロワー数×単価」の計算式で算出します。
インフルエンサーの分類 | 単価 | 合計 |
---|---|---|
メガインフルエンサー(フォロワー100万人~) | 平均2.5円 | 100万人×単価2.5円=2,500,000円 |
トップインフルエンサー(フォロワー10万人~) | 平均2.5円 | 10万人×単価2.5円=250,000円 |
ミドルインフルエンサー(フォロワー3万人~) | 平均2.5円 | 3万人×単価2.5円=75,000円 |
マイクロインフルエンサー(フォロワー~3万人) | 平均1.5円 | 3万人×単価1.5円=45,000円 |
なお、TikTok版インフルエンサーマーケティングの費用については、下記の記事でも詳しく解説しておりますので、ぜひ参考にしてください。
▼参考記事
TikTokインフルエンサーマーケティングのメリット
TikTok上でインフルエンサーマーケティングを実施するメリットとして、以下の7点が挙げられます。
- 長編動画より集中して見てもらえる
- 自社商材のターゲット層にリーチできる
- 認知拡大からコンバージョンまで期待できる
- 広告よりユーザーに受け入れられやすい
- 口コミによる拡散力が強い
- 海外ユーザーにもアプローチできる
ここからは、7つのメリットについて個別に解説します。
長編動画より集中して見てもらえる
TikTokインフルエンサーマーケティングの1つ目のメリットは、「長編動画より集中して見てもらえる」という点です。
いわゆる「ながら視聴」されやすい長編動画に比べ、わずか15秒~3分のTikTok動画は、少し目を離すとあっという間に終わってしまします。
そのため、「見逃さないようにしよう!」という心理が働き、集中して見てもらえる傾向が強いのです。
自社商品・サービスに興味関心のあるターゲットにアプローチできる
「自社商材のターゲット層にリーチできる」のも、TikTokでインフルエンサーマーケティングを行う大きなメリットです。
TikTokにはAIベースの精度の高いレコメンド機能が搭載されており、閲覧履歴や過去に行ったエンゲージメントなどを元に、ユーザーが興味・関心を寄せているコンテンツを選別し、おすすめ動画として表示される仕組みになっています。
つまり、ファンデーションのPR動画ならコスメ関連のコンテンツを好むユーザーに、音楽フェスのPR動画ならミュージックビデオ風のコンテンツをシェアした経験があるユーザーに、といった具合に自社のターゲット層へ向けて情報を発信することができるのです。
サービス・商品の認知拡大からコンバージョンまで期待できる
3つ目のメリットは、「認知拡大からコンバージョンまで期待できる」という点です。
TikTokのユーザー層である10代~40代の多くはスマホの扱いに慣れており、気になるアイテムを見つけたらその場でリサーチする人も珍しくありません。
インフルエンサーのフォロワーが知りたい情報をリアルタイムで入手できるよう、TikTok上に商品詳細ページへのリンクを貼っておきましょう。
TikTokはあくまで動画を視聴するためのアプリですが、商品購入までの導線を整えておくことで、ブランドの認知拡大に留まらず売上アップにも繋がりやすくなります。
広告よりユーザーから反応が得やすい
「広告よりユーザーに受け入れられやすい」のは、インフルエンサーマーケティングならではの強みです。
とくにショート動画に特化しているTikTokはインパクト重視ですから、宣伝広告になりがちな「しつこさ」が和らぎます。
実際、インフルエンサーマーケティングの企業案件としてTikTokに投稿された動画が、数百万回以上も再生された事例もあるほどです。
口コミによる拡散が期待できる
5つ目のメリットは、「口コミによる拡散力が強い」という点です。
そもそも、インフルエンサーマーケティングはインフルエンサーの影響力や社会的信頼性などによって機能しおり、多くのフォロワーはインフルエンサーに対して「憧れ」や「共感」といった感情を抱いています。
だからこそ、「○○さんのファッションを真似したい!」「○○さんが勧めている商品なら安心!」という心理が働き、ブランドの認知拡大・集客・売上げといった、企業にとって望ましい結果に繋がりやすいのです。
さらに、商品を購入したフォロワーが自作のオリジナル動画をTikTokに投稿すれば、口コミが連鎖的に広まっていき、より良い成果が期待できます。
海外ユーザーにもアプローチできる
「海外ユーザーにもアプローチできる」のも、TikTokでインフルエンサーマーケティングを行う代表的なメリットです。
前述した通り、TikTokの海外月間アクティブユーザー数(MAU)は、2021年9月時点で10億人以上。
リリースされて以降、爆発的にダウンロード数が伸びていることを考慮すると、多少ペースが緩やかになったとしても、利用者は増え続けていると思ってよいでしょう。
しかも、世界150カ国以上で普及しているのですから、海外ユーザーにも十分アプローチが可能です。
TikTokインフルエンサーマーケティングのデメリット
前述した通り、TikTokでのインフルエンサーマーケティングには多くの魅力的なメリットがあります。
だからと言って、デメリットが全く無い訳ではありません。
とくに注意したいのが、以下の3つのデメリットです。
- インフルエンサーの選定が難しい
- ターゲットが限定的
- 炎上リスク
ここからは、上記のデメリットについて順番に解説していきます。
インフルエンサーの選定が難しい
TikTok上でインフルエンサーマーケティングを実施する場合、最大のデメリットと言えるのが「インフルエンサー選定の難しさ」です。
たしかに、InstagramであろうとX(旧Twitter)であろうと、インフルエンサーマーケティングである以上、そのSNSであってもインフルエンサー選定の難しさは共通しています。
とはいえ、TikTok動画には15秒~3分という縛り縛りがあるため、コンテンツに盛り込める情報量には限りがあるのです。
では、不足している情報量を何で補えば成果に繋がるのでしょうか。
その答えは、インフルエンサー本人のキャラクターやクリエイターとしてのスキル、専門性などです。
にもかかわらず、自社ブランドのイメージを損なうような人物や、モラルに問題がある人物をインフルエンサーとして起用してしまったら、何年もかけて積み上げてきた消費者からの信頼まで失い兼ねません。
インフルエンサー選定の成否は、ブランドの認知拡大や商品の売上げといった成果だけでなく、企業の価値にまで大きな影響を与えるのです。
ターゲットが限定的
2つ目のデメリットは、「ターゲットが限定的」という点です。
たしかにTikTokのユーザー層は従来の10代~20代から、30代や40代まで拡大しています。
とはいえ、メインユーザー層が全世代におよぶYouTubeやLINEに比べると、PRの対象となるターゲット層は明らかに限定的です。
TikTokでインフルエンサーマーケティングを実施する際は、自社のターゲットがユーザー層と一致しているか、あらかじめ確認しておきましょう。
なお、各種SNSのメインユーザー層は、以下の通りです。
- TikTok:10代~30代
- Instagram:10~30代
- YouTube:全世代
- X(旧Twitter):10~30代
- Facebook:30~50代
- LINE:全世代
炎上リスク
3つ目のデメリットは、インフルエンサーマーケティングで避けては通れない「炎上リスク」です。
とくにTikTokはたった15秒~3分のショート動画に特化しているため、「PR動画」だと気づかれないこともあります。
いわゆるステマだと誤解されて炎上しないよう、ユーザーが一目で気付けるように「宣伝」であることを分かりやすい表示しておきましょう。
ステマについては下記のコラムでも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
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TikTokのインフルエンサーに依頼する方法
企業案件をTikTokのインフルエンサーに依頼する主な方法は、以下の3種類です。
- 直接インフルエンサーに依頼する:仲介マージンが発生しない
- マッチングプラットフォームサービスを活用する:自分で探すことができる
- 代理店に依頼する:プロ視点で最適な人材をアサインしてくれる
それぞれメリットがありますので、比較検討してみましょう。
TikTokと相性が良いジャンル
インフルエンサーマーケティングによってプロモーションを行う場合は、「SNSと商材との相性」についても考慮しなければなりません。
たとえば、TikTokと相性の良い商材として以下の4種類が挙げられます。
- ファッション
- コスメや美容
- エンターテイメント
- 飲食業
上記のジャンルには、「流行りや廃りが激しい」、「ビジュアルの訴求効果が高い」という2つの共通点があります。
TikTokのユーザー層は、中高年と比べて情報感度が高い傾向が見られる10代~30代なので、スピード感とビジュアルが大きな特徴になっています。
TikTokで人気のインフルエンサー
この章では、TikTokで人気のインフルエンサーとして、以下の3名をご紹介します。
- スポーツ系TikToker :ウンパルンパさん
- 美容系TikToker:やみちゃん
- 食品系TikToker:スイーツ男子 (T)さん
それでは早速、見ていきましょう。
スポーツ系TikToker :ウンパルンパさん
公式アカウント:@unparunpa1028
総フォロワー数:約190万人(2023年9月時点)
1人目にご紹介する部活ネタやスポーツネタのTikTokerとして人気の「ウンパルンパさん」です。
中でも、思わずクスッと笑ってしまいそうになる「サッカーあるあるの動画」は、家族で楽しめる人気動画として知られています。
美容系TikToker:やみちゃん
公式アカウント:@ayami_yamichan
総フォロワー数:約80.5万人(2023年9月時点)
2人目にご紹介するのは、多くの企業案件を手掛けている美容系TikToker「やみちゃん」です。
コスメを扱っている企業に選ばれている理由は、何と言っても専門性の高さでしょう。
化粧品検定1級に加え、コスメコンシェルジュの資格まで持っているため、信憑性は文句ナシ。
その反面、動画はユニークかつエンタメ性が高いので、ギャップも人気の理由なのでしょう。
食品系TikToker:スイーツ男子 (T)さん
公式アカウント:@icehomecafe
総フォロワー数:約6.7万人(2023年9月時点)
3人目にご紹介するのは、誰もが購入できるスーパーやコンビニのフードについて投稿している、食品系TikToker「スイーツ男子 (T)さん」です。
高価なデザートではなく、あえて子供でもお小遣いで買えるスイーツを題材にしているのが特徴。
フォロワー数も順調に伸びていますので、今後の活躍が期待できます。
TikTokインフルエンサーマーケティングの事例
公式アカウント:@kimura.sena
総フォロワー数:約19.5万人(2023年9月時点)
最後に、TikTokで実施されたインフルエンサーマーケティングの事例についてご紹介します。
こちらは、全国規模でポップアップイベントを開催する「ポケモンセンター」と、投稿した動画のほとんどが再生回数1万回を超える「木村星南さん」のタイアップ事例です。
今回の企業案件では、実に再生回数が37万回を超えるほどの大成功という結果でした。
特筆すべきは、本来ファッション・美容系のインフルエンサーである木村星南さんが、一見まったく関連性のないポケモンセンターという商材を紹介して、成功を収めているという点です。
そこで、さまざまな属性のフォロワーから寄せられたコメントを見てみると、木村星南さんのライフスタイルについての質問・共感などが大量に届いていました。
この点を踏まえると、全世代をターゲットにしているポケモンセンターのイベントを紹介するインフルエンサーとして木村星南さんを選んだ理由は、「フォロワー属性の幅広さ」と「インフルエンサー自身のキャラクター」の2点だと推察できます。
インフルエンサーマーケティングの成功事例については、下記の記事でも詳しく解説しております。
▼関連記事
TikTokでインフルエンサーマーケティングに挑戦してみよう!
ユーザーが急増しているとはいえ、InstagramやX(旧Twitter)に比べると、日本ではまだまだ歴史の浅いTikTok。
言い換えれば、新しいからこそ他のSNSよりもインフルエンサーマーケティングが横行していないのです。
インフルエンサーマーケティングを検討しているなら、TikTokを選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
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