ステマ規制とは?ステマの扱いや違反になるケースを紹介

2023年10月1日から、いよいよ「ステマ規制」がスタートしました。
同年3月の時点で今秋には導入されるだと予想されていたステマ規制ですが、内容について把握していない人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ステマ規制とはどのような内容になっているのか、違反に該当するケース、違反した時の罰則の有無などについて解説していきます。

ステマ(ステルスマーケティング)とは?

ステマとは、ステルスマーケティング(stealth marketing)を短縮した略語で、消費者に対して「広告」であることを隠したまま、宣伝する行為をさしています。

利害関係があるにもかかわらず、まったく無関係な第三者を装って行うマーケティング手法、と言った方イメージしやすいかもしれません。

日本でも何度か大規模なステマ行為が発覚し、連日のようにメディアで大々的に取り上げられた事例もあります。
記憶に新しい事例としては、2012年に起きた「ペニーオークションによる詐欺事件」、および「食べログの、やらせ投稿」などが有名です。

あまりに世間への影響が大きかったため、その年の新語・流行語大賞に「ステマ」がノミネートされました。

とはいえ、「ステマ」という単語は知っていても、どのような行為が該当するのか見極められない人も多いのではないでしょうか。
まず大前提として、ステルスマーケティングを大きく分類すると、以下の2種類に分けられます。

  • 企業のなりすまし行為
  • 第三者への利益提供

ここからは、上記2種類のステマ行為について個別に解説していきます。

企業のなりすまし行為

ステマと聞いて、真っ先に「なりすまし行為」を連想する人も多いのではないでしょうか。

企業のなりすまし行為とは、商品を販売している企業・関連会社など、商品が売れたりサービスが利用されたりすると利益を得る人が、一般消費者のフリをして宣伝する行為です。

具体的には、以下のようなケースが該当します。

  • ECサイトのレビュー欄で「不当に」星5の評価を増やして、意図的に商品の価値を高める
  • 口コミサイトで「嘘や誇張」を交えて絶賛し、意図的に商品の価値を高める

反対に、ライバル会社の商品について「事実とは異なる」悪評を口コミで広める行為も、企業のなりすまし行為です。

ちなみに、前述した「ペニーオークションによる詐欺事件」や「食べログの、やらせ投稿」も、企業のなりすまし行為に該当します。

第三者への利益提供

第三者への利益提供とは、文字通り社外の人に報酬を支払っているにもかかわらず、宣伝行為であることを隠したまま、「自社の代わり」に商品の良さをアピールしたり購入を促したりする行為です。

たとえば、企業案件を受注したインフルエンサーが、「広告」「PR」「提供」「タイアップ」といった文言を明示せずにコンテンツを投稿した場合は、ステマに該当します。

SNSには独自のステマ防止機能が備わっていますので、企業案件としてコンテンツを投稿する場合は、必ずルールを守りましょう。

これまでのステマの扱いとは?

結論から言うと、2023年10月以前は「ステマそのもの」を「もれなく」規制する法律は、日本に存在しませんでした。

まずは、消費者庁が2011年に公表した、景品表示法のガイドライン「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」の解説図をご覧ください。

テキスト  中程度の精度で自動的に生成された説明

出典:景品表示法のガイドライン

つまり、規制できるのは以下のどちらかに該当している場合に限られていたのです。

  • 優良誤認表示(景品表示法第5条1項)
  • 有利誤認表示(景品表示法第5条2項)

最大の問題点は、「広告主の表示であるにもかかわらず、第三者の表示であると一般消費者に誤認させる表示」が、景品表示法で規制できない、という点でしょう。

事実、これまで日本で発生したステマ事例でも、特別な理由が無い限り法的な処罰は課せられていないのです。

ちなみに、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)には、どのような状態であれば規制の対象になるのか、以下のように記載されています。

(不当な表示の禁止)
第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの

引用:不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)

2023年10月1日からステルスマーケティング法規制がスタート!

結論から言うと、2023年10月1日以降、ステマ行為は違法となります。
2023年10月1日から、ステマ広告は「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」に追加され、「景品表示法上の不当表示」の該当ケースとして規制されることになったのです。

テーブル  自動的に生成された説明

引用元:内閣府告示第19号(令和5年)

消費者庁が定めた新ステマ規制の運用基準

ステマ規制には、当然ながら一定の運用基準が設けられています。

2023年10月1日以降、どのようなケースがステマとして規制の対象になるのか、そのルールが記載されているのが、消費者庁が公開している「『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』の運用基準」です。

消費者庁が定めた運用基準には、そもそもステマと認定される条件について以下のようき記載されています。

「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(令和5 年内閣府告示第19号)とは、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示(以下、「事業者の表示」という。)であるにもかかわらず、事業者の表示であることを明瞭にしないことなどにより、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難となる表示である。

引用:消費者庁「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準

要約すると、以下2つの条件を満たしている場合はステルスマーケティングに該当し、規制の対象となるのです。

  • 商品やサービスを提供する事業者による表示
  • 一般消費者にとって事業者による表示だと判別しにくい表示

ここからは、上記の2項目について順番に解説していきます。

商品やサービスを提供する事業者による表示

商品やサービスを提供する事業者による表示は、ステマ規制の対象になります。

ポイントは、「事業者による表示」を判断する基準です。

「事業者による表示」は表示内容の決定に事業者が「関与」したどうかで判断されるのです。

つまり、たとえインフルエンサーやアフィリエイターなどの第三者が行った行為でも、事業者がコンテンツ内容の決定に関わっていた場合は、あくまで事業者による表示だと判断されます。

反対に、インフルエンサーやアフィリエイターなどの第三者が、事業主に無断でコンテンツの内容を決定した場合は、意図的であろうとミスであろうとステマ規制の対象にはなりません。

一般消費者にとって事業者による表示だと判別しにくい表示

ステルスマーケティングに該当する2つ目の要素は、「一般消費者にとって事業者による表示だと判別しにくい表示」です。

たとえば、以下のようなケースが当てはまります。

  • 「PR」だけ消費者が視認しにくい位置に表示している
  • 「広告」だけ薄い色のフォントにしている
  • 「提供」だけ小さいフォントにしている
  • 動画の中に一瞬だけ「広告」を表示している
  • 長編動画の中間や末尾にだけ「広告」を表示している
  • SNS上で「#PR」や「#提供」などがユーザーに見つからないよう、大量のハッシュタグに紛れ込ませている
  • コンテンツの冒頭には「タイアップ企画」を、本文には「個人の感想です!」を記載し、消費者を惑わしている

ステマ規制違反になるケース

以下5つのケースは、すべてステマ規制違反に該当するケースです。

  • 「個人の感想」や「第三者の意見」だと偽って発信する
  • 企業のスタッフが口コミサイトで自社に高評価をつける
  • 金銭を支払ってレビューの高評価を付けるように依頼する
  • 報酬を支払って競合のレビューに低評価を付けるように依頼する

ここからは、上記5つのケースについて個別に解説していきます。

「個人の感想」や「第三者の意見」だと偽って発信する

意外とありがちなのが、宣伝であるにもかかわらず「あくまで個人の感想です!」といった主旨のコメントを発信するケースです。

インフルエンサーが企業から報酬を受け取っている以上、利害関係は疑いようがありません。

にもかかわらず、コンテンツに「タイアップ」などの表示をしないまま、個人の感想として情報を発信した場合は、ステマに該当します。

この場合、問題となるのが「その行為を誰が決定したのか」です。

仮に、事業主に依頼されてステマ行為を行った場合は、ステマ規制に違反したことになります。

一方、インフルエンサーが自由意思で決断・実行した場合は、ステマ規制に違反したことにはなりません。

企業のスタッフが口コミサイトで自社に高評価をつける

事業主だけでなく、企業のスタッフが口コミサイトで自社に好評価をつけた場合も、ステマに該当します。

ただし、法的にステマ規制に違反しているかどうかは、別問題です。

事業主に命令されて行った場合は、「事業主が決定に関与した」と判断さるため、ステマ規制に違反したことになり、「措置命令」の対象となります。

なお、ステマ規制に違反した場合の罰則については、本記事の後半で詳しく解説しております。

報酬を支払ってレビューの高評価を付けるように依頼する

いわゆる「やらせ行為」にあたるのが、こちらのケースです。

金銭を受け取って高評価のレビューを投稿するのは、ステルスマーケティングに該当します。

もちろん、事業主が決定権を行使していた場合は、ステマ規制に違反したと判断されます。

ちなみに、こちらのケースは2012年に「食べログ」で発生したステマ問題と同じ手法です。

当時は、組織的に口コミサイトのランキングを操作するグループの存在が明るみになり、社会問題にまで発展しました。

報酬を支払って競合のレビューに低評価を付けるように依頼する

なんらかの報酬を支払って競合のレビューに低評価を付けるように依頼するのも、ステルスマーケティングに該当します。

ポイントは「報酬が派生している」のと「虚偽の投稿を行っている」の2点ですが、どちらか片方でもアウトです。

ただし、ステマ規制に違反しているかどうかは、事業主が関与しているかどうかで判断されます。

告知の仕方への考え方

先ほど触れた通り、ユーザーへの広告の告知の仕方に表現制約はありません。

しかし、ただ広告だと告知すればいいわけではありません。「ユーザーにわかりにくい」場合はステマ規制の対象となります。

広告案件に関してはTwitterであれば「#PR」「#AD」というハッシュタグ、Instagramであれば「タイアップ投稿」という表示をするのが通例となっています。

まず、広告にも関わらず、上記のような表示がないものはステマ規制の対象となります。

次に広告の表示をしていても「個人の感想」と書かれており、どちらかわからない表記になっている場合もNGです。

また、「広告の表示が認識できないくらい小さい」「大量のハッシュタグに紛れ込ませてわかりにくい」という場合もNGとなります。

動画であれば、広告表記が認識されないくらい短い間しか表示されないのもステマ規制の対象になってしまいます。


現在のガイドラインでは上記のような場合はNGです。

しかし、デジタルの世界は進歩が速いため、ガイドラインの内容は進歩に合わせてアップデートする可能性もあります。

今後、運用基準がさらに明確化される可能性も考えられます。

ステマ規制に違反した時の罰則は?

ステマ規制に違反した場合は、消費者庁および都道府県による「措置命令」の対象となり、依頼主である事業者名が公表されてしまいます。

事業者名を公表する理由は、違反行為が再び行われることを防止するためです。

また、この措置命令に違反した場合は、より重い刑事罰(景品表示法第36条)の対象となるため、以下のどちらか片方もしくは両方の罰則が科せられてしまいます。

  • 2年以下の懲役
  • 300万円以下の罰金

ちなみに、ステマ規制違反は「景品表示法(第5条3号)」の規定に違反する行為に該当しますが、以下の「景品表示法(第8条)」に明記されている通り、課徴金は課せられません。

(課徴金納付命令)
第八条 事業者が、第五条の規定に違反する行為(同条第三号に該当する表示に係るものを除く。以下「課徴金対象行為」という。)をしたときは、内閣総理大臣は、当該事業者に対し、当該課徴金対象行為に係る課徴金対象期間に取引をした当該課徴金対象行為に係る商品又は役務の政令で定める方法により算定した売上額に百分の三を乗じて得た額に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。ただし、当該事業者が当該課徴金対象行為をした期間を通じて当該課徴金対象行為に係る表示が次の各号のいずれかに該当することを知らず、かつ、知らないことにつき相当の注意を怠つた者でないと認められるとき、又はその額が百五十万円未満であるときは、その納付を命ずることができない。
一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、実際のものよりも著しく優良であること又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であることを示す表示
二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であること又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であることを示す表示
2 前項に規定する「課徴金対象期間」とは、課徴金対象行為をした期間(課徴金対象行為をやめた後そのやめた日から六月を経過する日(同日前に、当該事業者が当該課徴金対象行為に係る表示が不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれを解消するための措置として内閣府令で定める措置をとつたときは、その日)までの間に当該事業者が当該課徴金対象行為に係る商品又は役務の取引をしたときは、当該課徴金対象行為をやめてから最後に当該取引をした日までの期間を加えた期間とし、当該期間が三年を超えるときは、当該期間の末日から遡つて三年間とする。)をいう。
3 内閣総理大臣は、第一項の規定による命令(以下「課徴金納付命令」という。)に関し、事業者がした表示が第五条第一号に該当するか否かを判断するため必要があると認めるときは、当該表示をした事業者に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。この場合において、当該事業者が当該資料を提出しないときは、同項の規定の適用については、当該表示は同号に該当する表示と推定する。

引用元:不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)

インフルエンサーは罰則の対象?

以下の通り、たとえステルスマーケティングの規制に違反したとしても、インフルエンサーは罰則の対象には含まれません。

景品表示法の対象となるのは事業者だけです。
規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する事業者(広告主)です。
企業から広告・宣伝の依頼を受けたインフルエンサー等の第三者は規制の対象とはなりません。

引用:消費者庁

ただし、これまで通りステマ行為を行ったインフルエンサーはフォロワーだけでなく、社会的にも信用を失ってしまいます。

意図的だったのか、もしくは単純なミスだったのか、ユーザーからは判断がつきません。

各SNSにはステルスマーケティングを予防するための機能が用意されていますので、確認しておきましょう。

ITリテラシーを習得してステマ規制を回避しよう!

日本では、これまでステルスマーケティング自体を規制する法律がありませんでした。

しかし、インターネットやSNSが普及するにつれて、ステルスマーケティングは消費者にとって身近なリクスになっています。

ようやくではあるものの、2023年10月1日か「ステマ規制」の対象となり、ルールも明確化されました。

したがって、今後ステマ規制に違反した場合は「措置命令」の対象となり、事業主の氏名が一般公開されます。

これからは、社内・社外を問わず関係者全員に高いITリテラシーが求められるでしょう。

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