SNSマーケティングの種類5選!始め方や成功事例も解説
「SNSマーケティングに興味はあるけど、種類が多くて違いがわからない…」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
プラットフォームは種類によって利用者層が異なる上に、ブランドの認知度アップにはSNSアカウント運用を、消費者の購買行動を促すにはインフルエンサーマーケティングを、といった具合に目的に適した手法を選択しなければ、本来の効果は得られません。
そこで今回は、SNSマーケティングの効果・注目されている理由・手法の種類などについてわかりやすく解説していきます。
目次
SNSマーケティングとは?
SNSマーケティングとは、InstagramやYouTubeなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上で行う、デジタルマーケティング手法の一種です。
デジタルマーケティングで活用する媒体を大きく分類すると、下記の3種類に分けられます。
- オウンドメディア:自社サイト
- ペイドメディア:広告
- アーンドメディア:SNS、口コミサイト
従来のデジタルマーケティングでは、運営者側がユーザーへ向けて一方的に情報を発信するオウンドメディアやペイドメディアが主に使われていました。
これに対し、アーンドメディアであるSNSには、運営者側とユーザー間で「双方向のコミュニケーションが図れる」という大きな強みがあります。
SNSマーケティングの効果の種類
デジタルマーケティングにはさまざまな種類がありますが、なぜ多くの企業がSNSマーケティングを主戦力として扱っているのでしょうか?
その最大の理由は、効果の種類が広範囲にわたっているからです。
まずは、SNSマーケティングで得られる効果の種類を見てみましょう。
SNSマーケティングの効果
- ブランド、商品、サービスの認知度アップ
- ブランディング効果(他社との差別化)
- 顧客ロイヤリティ(愛着・信頼)の向上
- スピーディーな情報伝達
- 顧客獲得単価、費用対効果の改善
これだけ幅広い効果が期待できるのですから、目的ごとに異なるマーケティングをいくつも展開するよりも、はるかに効率的です。
SNSマーケティングが企業に重視される理由
ここからは、なぜSNSマーケティングが多くの企業に重視されているのか、その理由について下記の2項目に分けて解説していきます。
- SNS利用率の高さ(世代別)
- 興味喚起された人の半数近くが購買している
SNS利用率の高さ(世代別)
企業がSNSマーケティングを重視する代表的な理由として、SNS利用率の高さが挙げられます。
その根拠となっているのが、2022年に総務省が実施した「令和4年通信利用動向調査の結果」です。
出展:総務省 「令和4年通信利用動向調査の結果」
上記のグラフでわかる通り、SNSは若年層・中高年・高齢者を問わず全世代で普及しており、全体のSNS利用率にいたっては実に8割にも上っています。
発行部数が少ない雑誌より、多い雑誌に広告を出した方が高い効果が期待できるように、SNSの利用率の高さはプロモーションを展開する企業にとって、非常に魅力的なのです。
興味喚起されたユーザーの半数近くが購買している
興味喚起されたユーザーの半数近くが購買しているという点も、多くの企業がSNSマーケティングを重視している理由です。
まずは、クロス・マーケティングが実施した調査結果をご覧ください。
このグラフで示されている通り、「SNSで見た商品やサービスに興味をもつ」と回答した人の割合は、Twitter・LINEで約30%、Instagramで約20%という結果でした。
さらに、「興味を持った物を購入する」と回答した人の割合は、全体で半数近くにも上っているのです。
これだけ消費者の興味・購買意欲に影響を与えるのですから、SNSマーケティングを導入してみる価値は十分にある、といえるでしょう。
なお、上記の調査は下記の条件下で実施されています。
- 調査地域:全国47都道府県
- 調査対象:15~69歳の男女(中学生を除く)、対象SNSの内、1つ以上を普段から利用している人
- 調査期間:2019年6月28日(金)~6月30日(日)
- 有効回答数:本調査4,374サンプル
SNSマーケティング手法5種類
ここからは、SNSマーケティングのやり方が知りたいという方へ向けて、SNSマーケティングにおける具体的な手法について解説していきます。
以下の5つの手法について詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
- SNSアカウント運用
- SNS広告配信
- SNSキャンペーン
- インフルエンサーマーケティング
- ソーシャルリスニング
SNSアカウント運用
5つの手法の中で最も一般的で、かつ初心者でも取り組みやすいのがInstagramやTwitterなどで展開する「SNSアカウント運用」です。
「SNS公式アカウント」の運用は下記のような目的に適しています。
SNSアカウント運用に適している目的
- 顧客や見込みへの情報発信
- ユーザーとの接点増加
- 信頼関係の構築(ファンの獲得)
- 企業のブランディング
- 公式Webサイトへの誘導
- 消費者とのコミュニケーション(質問や感想など)
また、SNSアカウントの開設は費用がかからないことから、SNSマーケティングにかける予算が少ない場合に選ばれています。
SNS広告配信
SNS広告配信は、認知拡大や購入意向の向上など幅広い目的に適しており、短期間で効果が得られるのが特徴です。
各SNS(プラットフォーム)には、独自の広告配信サービスが設けられています。
たとえば、Instagramでは24時間限定で配信されるストーリーズの合間に表示される「動画広告」、TikTokではフル画面で表示される「起動画面広告」などが人気です。
最大の特徴は、テキストよりも視覚的なアピール度に優れている動画や画像を表示させられるという点でしょう。
動画や画像を用いることで広告っぽさが和らぐため、ユーザーに嫌悪感を与えるリスクが軽減します。
なお、SNS広告配信の代表的なメリットは下記の通りです。
- ユーザーの興味を引くビジュアル仕様
- 他のデジタル広告よりも、ターゲティング精度が高い
- 広告色が薄いため、メッセージが自然体で届く
- 広告出稿から効果測定までWeb上の管理画面で運用できる
- タイミングを逃さず配信できる
SNSキャンペーン
SNSキャンペーンとは、行動喚起を促す「ユーザー参加型」のマーケティング施策です。
SNSキャンペーン企画の一例
- Twitter×不二家:アレンジレシピを投稿すると、抽選でプレゼントが当たる
- TikTok×Qoo10:投稿したコーデがコンテストで選ばれると、商品券などが当たる
- Instagram×naturaglacé:使ってみた感想と写真を投稿すると、抽選で対象商品が当たる
UGC(ユーザーが作成したコンテンツ)の投稿を促すキャンペーンを開催することで、自然発生的に話題が広まり、認知拡大・顧客関係性強化・フォロワー数の増加といった効果が期待できます。
インフルエンサーマーケティング
5つの手法の中で、最も訴求力の高いPR手法といわれているのが「インフルエンサーマーケティング」です。
ファッションブランドや家電製品など、さまざまなジャンルのメーカーが導入していることから、消費者に対して購買行動を促す効果の高さが伺えます。
影響力が強いインフルエンサーとのタイアップによる商品の訴求や、インフルエンサーとのコラボ商品の開発など、施策の種類も豊富であることが大きな魅力でしょう。
ただし、単純にチャンネル登録者数が多いユーチューバーやフォロワー数が多いインスタグラマーを起用すれば、必ず成功するという訳ではありません。
ブランドイメージや自社商品のターゲット層とのマッチング精度が高いインフルエンサーを選定できるかどうかが、成否のカギを握っています。
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ソーシャルリスニング
ソーシャルリスニングとは、消費者のリアルな意見を集めて分析し、マーケティング戦略に反映させる手法です。
ビッグデータを活用する手法、といった方がイメージしやすいかもしれません。
たとえば、下記のような情報を集める際、アンケート方式だと膨大な手間と時間がかかってしまいますが、SNSを活用するソーシャルリスニングであれば膨大なデータを簡単に収集・分析できるのです。
ソーシャルリスニングの一例
- 自社ブランドのイメージについて、どのように語られているか
- 自社商品を購入したユーザーから、どのような感想が寄せられているか
- 写真や動画が投稿される際、どのようなハッシュタグがついているか
ソーシャルリスニングは、主に現状・施策結果・改善点を把握する目的で用いるため、デジタル・リアルを問わずあらゆるマーケティングに役立つのが特徴です。
SNSマーケティングのメリット
SNSマーケティングには多くのメリットがあります。ここでは特筆すべき以下の5つのメリットについてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
▼SNSマーケティングを導入するメリット
- 少ない費用で効果が高い
- 非ターゲット層への試験プロモーションに適している
- 顧客と密接な関係性が築ける
- リアルタイム性と拡散力
- 短期集中で成果が見込める
少ない費用で効果が高い
現在日本で利用されている主要SNS(Instagram・YouTube・TikTok・Twitter・LINE・Facebook)は、個人・法人を問わず無料でアカウントを開設できます。
外注をすることなく社内でアカウント運用・ソーシャルリスニングを行う場合は、初期費用はもちろん人件費以外のコストも発生しません。
また、SNS広告・SNSキャンペーン・インフルエンサーマーケティングを行う場合は、別途「運用費用」が発生するものの、従来のWebマーケティングよりも費用対効果の高さに定評があります。
なお、一からSNS運用代行会社へ依頼する場合は、アカウント開設・初期設定・管理・ソーシャルメディアポリシーの作成費用などを含め、初期費用として5万~10万円ほどが相場といわれています。
その後の費用相場は依頼する作業内容にもよりますが、企画・運用・効果測定を一括発注した場合は月額10万~50万円ほどが一般的です。
非ターゲット層への試験プロモーションに適している
これまで想定していなかったターゲット層へ向けて、試験的にプロモーションを展開できるのも、コストが安いSNSマーケティングならではのメリットです。
ターゲティング精度の追求はマーケティングの基本ですが、あえてリーチの対象を拡大することで、思わぬ客層から反響が得られる可能性が広がります。
たとえば、インテリアを扱う企業の多くは女性の利用率が高いInstagramを活用していますが、テレワークが普及している今ならビジネスパーソンの利用率が高いFacebookで施策を展開することで、メインターゲットにしていなかった男性フォロワーの獲得が期待できます。
雑誌掲載や検索エンジン上に表示するWeb広告など、ターゲットを限定した手法で業績が伸び悩んでいるのなら、幅広い客層へリーチできるSNSマーケティングが突破口になるかもしれません。
顧客と密接な関係性が築ける
従来のマーケティングは、運営者が一方的に情報を発信するため、どうしても企業とユーザーの距離に開きがありました。
その点、双方向のコミュニケーションが可能なSNSマーケティングは、企業とユーザーの関係がより密接かつ良好となるのです。
良好な関係性が築ける仕組みは、以下の通りです。
- 企業側:顧客の生の声が把握でき、ユーザーニーズの改善に繋がる
- 顧客側:ブランドに対する親しみ、愛着、信頼が増す
従来の「企業 対 顧客」という関係性から「人 対 人」へと変化するのは、ダイレクトなコミュニケーションが図れるSNSマーケティングならではのメリットといえるでしょう。
リアルタイム性と拡散力
Webサイトやブログは、コンテンツを発信してから検索ユーザーに届くまで、早くても数日はかかってしまいます。
その点、リアルタイム性に優れているSNSマーケティングであれば、投稿した情報が瞬時にユーザーまで届くのです。
さらに、ユーザーからユーザーへと伝わる「拡散力」によって、一気にトレンドニュース入りするケースも少なくありません。
ユーザーからの問い合わせや感想といったレスポンスもタイムリーに届くので、迅速に対応できるのも大きなメリットです。
短期集中で成果が見込める
ここぞというタイミングを逃さず、短期集中でプッシュできるのもSNSマーケティングの強みです。
短期集中型プロモーションとして、以下のような例が挙げられるでしょう。
- イベントの開催告知
- 新商品のリリース告知
- 年末商戦
- 卒業、入学、結婚シーズン
- ハロウィン、クリスマスなどのイベントキャンペーン
今期中に売上目標を達成したいなど、明確な期日・目標値へ向けてピンポイントで狙い撃ちできるのは、リアルタイムで情報が発信でき、なおかつ拡散力を備えているSNSマーケティングならではの魅力です。
SNSマーケティングのデメリット
ここからは、SNSマーケティングを始める前に知っておくべきデメリットについて解説します。
以下の3つのデメリットについて解説するので、ぜひ参考にしてください。
- 炎上リスクがある
- 担当者のリテラシーが必須
- 常に経過観察が必要
炎上リスクがある
SNSマーケティングの最大のデメリットといえば、何といってもネガティブな情報が一気に拡散されてしまう「炎上リスク」でしょう。
たとえ情報の発信元である企業であっても、SNSの「拡散力」を100%コントロールすることはできません。
なぜなら、情報が拡散する時の主導権を握っているのは、あくまで閲覧ユーザーだからです。
さらに厄介なのは、一度炎上すると企業側に非があろうとなかろうと、簡単には鎮火しないという点でしょう。
だからこそSNSマーケティングを導入する際は、あらかじめ炎上リスクに対する以下のような予防策を講じておく必要があるのです。
- 投稿前のダブルチェック体制を確立しておく
- 政治・宗教・マイノリティ関連の情報は、多様性に配慮する
- 時勢に配慮する
- 情報漏洩を含むSNS教育を、会社全体で徹底する
- SNSマーケティング専門の企業に依頼する
とくに「偏った意見」「誤解を招く言い回し」「暗にほのめかす表現」の3種類は、炎上しやすい代表的な失敗例であると同時に、企業の品格を損ない兼ねないので注意しておきましょう。
担当者のリテラシーが必須
SNSマーケティングの担当者には、ネットリテラシーが欠かせません。
具体的には、下記5種類の項目すべてを備えている人が理想的です。
ネットリテラシーの具体例
- ネット上の情報について、真偽・正確性が判断できる
- 情報を取捨選択し、適切に扱える
- プライバシー保護やセキュリティ対策を理解し、遵守できる
- 相手を傷つけたり、不快感を与えたりするような発言をしない
- 電子商取引(Eコマース)を適切に扱える
担当者のネットリテラシーが欠如していると、炎上リスクが高まるのはもちろん、会社の信用問題に発展し兼ねません。
常に経過観察が必要
従来のマーケティング手法であれば、ユーザーからの質問に回答するまで数日のタイムラグが生じても大きな問題にはなりません。
しかし、リアルタイムで相互コミュニケーションが図れるSNSマーケティングでは、ユーザーへのレスポンスを迅速に行う必要があります。
そのためには常に経過観察を行うのが理想的ではありますが、難しければ下記のような対策を講じておきましょう。
- 10:00~18:00など、あらかじめ対応時間を周知しておく
- 対応時間内は専業スタッフを常駐させ、タイムリーにレスポンスする
SNSマーケティングのプラットフォームの種類
ここでは、日本で主に利用されている6種類の主要プラットフォームについて、個別に解説していきます。
媒体 | 月間アクティブユーザー数 | 主要ユーザー層 | こんな企業におすすめ |
---|---|---|---|
3,300万人 | 10~30代(男女比4:6) | ・ファッションやメイクなどの物販系・旅行・20~30代女性がターゲットのECサイト | |
YouTube | 7,000万人 | 全世代 | ・ハウツー、ノウハウ系・BtoB企業・ブランディングを強化したい企業 |
TikTok | 約 1,700万人 | 10~20代 | ・若年層をターゲットにしている企業 |
4,500万人 | 10~30代 | ・キャンペーンを手軽に開催したい・ファン化で業績を安定させたい企業 | |
LINE | 9,500万人 | 全世代 | ・実店舗を構えている企業・顧客と1対1の関係性を築きたい企業 |
2,600万人 | 30~50代 | ・ターゲットが中高年の企業・海外展開を目指している企業 |
なお、各SNSの世代別利用率については、総務省が一般公開している令和4年度の調査結果を参照してください。
出展:総務省 「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 報告書」
Instagramは、画像や動画の配信に特化しているSNSです。
他の主要SNSよりも後発だったものの、2014年に日本でリリースされて以降、爆発的にユーザー数を伸ばしてきました。
2017年12月に「インスタ映え」がユーキャンの流行語大賞に選ばれたことからもわかる通り、デザイン性の高い投稿が集まるプラットフォームとして認知されています。
Instagramの基本情報
- 日本国内の月間ユーザー数:3,300万人(2019年3月時点)
- メインユーザー:10~30代の女性(男女比4:6)
- 他のSNSにはない強み:ビジュアル性が高く、美意識の高い女性に人気
また、Instagramの主な特徴は以下の通りです。
- ほとんどのユーザーが、写真や動画を投稿するために利用している
- 24時間後に自動消去されるストーリーズなど、投稿機能の種類が豊富
- タイムラインに表示されるのは、基本的にフォローしている人の投稿だけ
- リールという動画投稿でTikTokのようにバズらせることが可能
動画や画像の投稿が主な利用目的であるInstagramのユーザーにとって、ストーリーズ、フィード、ライブ配信、リールといった投稿機能の選択肢の多さは、非常に魅力的です。
この点も、SNSを使いこなしているミレニアム世代から支持されている理由でしょう。
最近ではTHREADS(スレッズ)というTwitterに似た新しいアプリもMeta社からリリースされ、Twitter以外のアプリでテキストメインの投稿が可能となりました。
TikTokやTwitterに比べて拡散性が低いことがデメリットとなっていましたが、近年リールという動画投稿機能をアップデートしたことによって、TikTokのようにバズらせることが可能となりました。
ブランドの世界観を確立したい企業、ビジュアル映えする商品・サービスを扱っている企業との相性のよさが際立っています。
Instagramに向いている企業
- ファッションや美容などの物販系
- 旅行系
- 10代後半~30代女性がターゲットのECサイト
利用者の多くが「インスタ映え」の投稿に敏感に反応するため、ファッション系や旅行系の企業との相性は申し分ありません。
また、2018年には直接instagram上で商品購入にまで繋げられる「ショッピング機能」が導入され、簡単にECサイトと連携できるようになりました。
以前はブランドアカウントでしかショップタグを付けることができなかったのですが、最近のアップデートで誰でも好きなブランドのショップタグを付けることができるようになりました。
これにより、インフルエンサーなどもショップタグを付けることができるので、フィード投稿から直接購入に繋げるということが可能になり、よりマーケティングの幅が広がっています。
YouTube
YouTubeは、いわずと知れた世界第1位のシェアを誇る動画専門のプラットフォームです。
YouTubeの基本情報
- 日本国内の月間ユーザー数:7,000万人(2022 年時点)
- メインユーザー:全世代
- 他のSNSにはない強み:視聴動向のトレンドや広告配信に、Googleのビッグデータが活用できる
近年では若年層をターゲットにしたTikTokに対抗すべく、ショート動画が開始されています。
そのため、10代~20代をターゲットにYouTubeでSNSマーケティングを展開していた企業の多くが、ショート動画へとシフトしています。
YouTubeの主な特徴は以下の通りとなっています。
- 幅広い世代にアプローチできる
- ゲームの実況から子ども向け番組まで、ジャンルの種類が豊富
- 広告表示が消せるサブスクリプション型のプランがある
- YouTuberを起用したインフルエンサーマーケティングの効果が高い
YouTubeを活用したSNSマーケティングは、フリーランスから一部上場企業まで、さまざまな企業が導入しています。
YouTubeに向いている企業
中でも成功率が高いのが、下記のような企業です。
- ハウツー、ノウハウ系:画像では伝わりにくい情報が簡単に伝わる
- BtoC企業:ユーザーの大半が個人で、プライベートの余暇として視聴している
- ブランディングを強化したい企業:動画内にロゴを簡単に表示できる「ブランディング機能」がある
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TikTok
TikTokは、全世界で爆発的にユーザー数を伸ばしているショート動画専門のSNSです。
TikTokの基本情報
- 日本国内の月間ユーザー数:約 1,700万人(16歳以上/2021年8月時点)
- メインユーザー:10~20代
- 他のSNSにはない強み:広告がフル画面で表示されるため、訴求力が高い
アプリダウンロード数世界ランキングでは、すでに2020年の時点でFacebookを抜いており、TikTokが堂々第1位に輝いています。(App Annie調べ)
TikTokの主な特徴は以下の通りです。
- 動画の長さが15秒~3分程度
- 爆発的な拡散力
- 1人あたりが視聴するコンテンツ数が多い
- インパクトが強く、繰り返し視聴したくなる
- パーソナライズされたハイクオリティなアルゴリズム
これまでは、「TikTokのユーザー=若年層」というイメージが定着していました。
しかし、2019年8月~2021年8月までの推移を調査した結果、25歳以上のユーザーが55~60%も増加しており、今後もターゲット層が拡大していくと予想されます。
TikTokに向いている企業
TikTokと相性のよい企業は下記の通りです。
- エンタメ系:音楽付きの動画と好相性
- 動画の作成に時間と手間をかけたくない企業:アプリ内で簡単に撮影・編集ができる
Twitter(現X)
Twitterは、拡散性が高く、匿名で複数のアカウント取得が認められているSNSとして知られています。
2023年にイーロンマスクにより、名称がX(エックス)に変更されたことも話題になりました。
Twitter(X)の基本情報
- 日本国内の月間ユーザー数:4,500万人(2017年10月時点)
- メインユーザー:10~30代
- テキストメインの投稿
リアルタイムで情報が飛び交うプラットフォームとして認知されているだけあって、拡散によってバズりやすいのが特徴です。
Twitterの主な特徴は以下の通りとなっています。
- テキストベースでのコミュニケーションツール(最大140文字まで)
- トレンドのツイート検索が便利
- 匿名性が高い
- 実名が原則のFacebookよりも、国内ユーザー数が多い
Twitter(X)に向いている企業
とくに下記のような企業は、Twitter上で展開するSNSマーケティングでの成功率が高い傾向が見られます。
- キャンペーンを手掛ける企業:リアルタイム性が高いため、拡散スピードが速い短期間で拡散される
- ファン化で業績を安定させたい企業:短文でレンスポンスできるので、視聴者を繋ぎとめやすい
LINE
LINEは、日本の総人口の内、約7割以上が使用している最大手のSNSです。
LINEの基本情報
- 日本国内の月間ユーザー数:9,500万人(2023年3月末時点)
- メインユーザー:全世代
- 他のSNSにはない強み:国内ユーザー数No.1
SNS自体が子どもから高齢者まで簡単に扱えるシンプルな仕様になっているため、ターゲット層が異なるさまざまな業種に選ばれています。
LINEの主な特徴は以下の通りです。
- 若年層からシニア層まで、ユーザーの世代に偏りがない
- 公式アカウント運用で使える機能が豊富(ラインボット、ポイントカード、リサーチ機能など)
- 直接やり取りできるトーク機能を活用すれば、より早くユーザーと親密な関係性が築ける
- LINE VOOM(写真・ショート動画)で、幅広いユーザーにアプローチできる
タイムラインの投稿が表示されるのは、原則「友だち追加」済みのLINEアカウントだけに限定されています。
一方、LINE VOOMには新たにフォロー機能が設けられており、「友だち追加」をしていないユーザーでもフォローするだけで気軽に閲覧することが可能です。
LINEに向いている企業
なお、LINEの主な特徴は以下の通りです。
- 実店舗を構えている企業:クーポンやショップカードを簡単に発行できる
- 顧客と1対1の関係性を築きたい企業:「友だち」として繋がることで親近感がアップする
Facebookは、6種類の主要SNSの中で唯一、実名登録制を原則としているプラットフォームです。
Facebookの基本情報
- 日本国内の月間ユーザー数:2,600万人(2019年7月時点)
- メインユーザー:30~50代
- 他のSNSにはない強み:実名登録制なので、情報の信憑性が高い
ビジネスシーンでの信用度が高いのは、やはり実名登録の影響なのでしょう。
Facebookの主な特徴は以下の通りです。
- 実名登録なので、炎上をしにくい
- 利用者の多くが30代以上のビジネスパーソンで、名刺代わりにもなっている
- 世界中で使われている大手SNS
日本国内ではユーザー数の少なさが目立ちますが、つい数年前まで世界シェアNo.1の地位を誇っていただけあって、海外で販路の拡大を狙っている企業にとっては、うってつけのSNSといってよいでしょう。
Facebookに向いている企業
- ターゲットが中高年の企業
- 海外展開を目指している企業
なお、Facebookの公式発表によると、全世界の月間アクティブユーザー数は約29.63億人と報告されています。(2022年Q4)
SNSマーケティングの始め方!実践編6ステップ
SNSマーケティングを実行する手順は、一般的に下記の5ステップで進めていきます。
▼SNSマーケティングの手順
- 目的を決める
- 目的に合った「SNS」と「手法」を選ぶ
- KPIを設定する
- 運営体制を整えて運用開始
- データ分析を次回の施策に活かす
①目的を決める
最初に行うのは、SNSマーケティングの目的を明確にすることです。
たとえば、SNSマーケティングの目的には下記のような種類がありますが、目指すゴールが違えば「選定すべきプラットフォーム」はもちろん、「最適な手法」も異なります。
以下のような目的の一例から、自社にあった目的を精査してみましょう。
- 商品の売上アップ
- ブランド認知度の向上
- イベントの集客
- 市場調査
- 採用情報の発信
②目的に合った「SNS」と「手法」を選ぶ
2つ目のステップは、目的に適した「SNS」と「手法」の選定です。
SNSの選定で最も重要なのは、「自社のターゲット層」と「SNSの利用ユーザー層」が一致しているかどうかという点です。
世代・性別・男女比といった基本情報に加え、コミュニティの傾向も吟味すべきでしょう。
また、目的と手法のマッチングについては、下記の一例を参考にしてください。
▼手法の一例
- ユーザーのファン化:SNSアカウント運用
- 新商品リリースの話題性づくり:SNS広告配信/インフルエンサーマーケティング
- イベントの集客:SNSキャンペーン
- 市場調査:ソーシャルリスニング
③KPIを設定する
3つ目のステップは、KPI(重要業績評価指標)の設定です。
KPIとは、最終的なゴールにあたるKGI(重要目標達成指標)に辿り着く前の「中間指標」を指しています。
以下のKGIとKPIの一例を参考に、自社の商品やサービスにおいてはどのようなKGIやKPIを設置すべきかを検討してみましょう。
KGI | KPI |
---|---|
20代男性のブランド認知度を、現在の20%から30代と同じ30%まで上げる | ・フォロワー数○○アップ・オリジナルハッシュタグの使用件数○○アップ |
ブランド好感度を10%アップさせる | ・フォロワー数○○アップ・ユーザー投稿数○○アップ・コメントやリプライ数○○アップ ・ハッシュタグの利用数○○アップ・指名検索数○○アップ |
SNS経由のECサイトの売上を15%アップさせる | ・URLクリック数○○アップ・コンテンツの保存数○○アップ・クーポン利用数○○アップ |
④運営体制を整えて運用開始
KPI を設定したら、いよいよ運営体制を整備して実際に運用を開始します。
以下のような運営体制の準備を整えていきましょう。
- リテラシーの高い責任者を選ぶ
- チームづくり
- SNSの取り扱いルールを設け、全社員に周知する
- アカウント運用の社内ルールを作る
- 何時~何時まで顧客対応するか
中には、チーム外の社員がプライベート用のアカウントからうっかり情報漏洩をしてしまった、またはユーザーに不快感を与えるような発言を投稿し、炎上するケースも報告されていますので運用体制の整備には注意が必要です。
⑤データ分析を次回の施策に活かす
SNSマーケティングの運用を開始した後は、定期的にデータ分析を行いましょう。
現状を正しく把握することで、はじめて「成功した要因」や「改善すべき課題」が見えてきます。
SNSに限らず、すべてのマーケティング手法はPDCAを回し効果測定を行うのが、成功への近道です。
常に分析と改善を意識したSNSマーケティングの運用を心がけましょう。
SNSマーケティングの成功事例
ここからは、SNSマーケティングの成功事例を6種類のプラットフォームに分けてご紹介していきます。
プラットフォーム別の成功事例は以下の通りです。
- Instagram:JILL STUART Beauty
- YouTube: LINEマンガ
- TikTok:江崎グリコ株式会社
- Twitter:ローソン
- LINE:ロクシタン
- Facebook:株式会社ユニクロ
Instagram:JILL STUART Beauty
- 公式アカウント:@jillstuartbeauty|Instagram
- 総フォロワー数:68.5万人(2023年7月時点)
Instagram上で展開したSNSマーケティングの成功事例としてご紹介するのは、アメリカ合衆国に本社を構える世界的な大手化粧品ブランド「ジル・スチュアートビューティー」です。
「“かわいい”に恋するすべてのひとに。」をコンセプトに掲げており、主に20代~30代の若い女性に人気のブランドで、こちらのキャンペーンでは「いいね」が1.3万件も集まりました。
最大の勝因は、数あるSNSの中からブランドのターゲット層にぴったりハマる、Instagramを選択したことでしょう。
一目でクオリティの高さが伺える美しい画像から非日常的な雰囲気が伝わり、より購買意欲が刺激されます。
YouTube:LINEマンガ
出展:マンガアプリ利用者数No.1「LINEマンガ」がリニューアル!|LINE
- 公式アカウント:@NAVERLINE
- チャンネル登録者数:13.8万人(2023年7月時点)
YouTubeの成功事例としてご紹介するのは、電子コミックの「LINEマンガ」です。
電子コミックと相性がよいYouTubeを選択することで、アプリインストールの単価が13%も改善。
ユーザーに「続きが見たい!」と思って貰えるよう、あえて動画を30秒という短さにし、インパクトが強いシーンをチラ見せしているのも、再生回数13万という成功を収めた要因なのでしょう。
従来LINEマンガが抱えていた、「新規ユーザーのアプリインストール増」と「既存ユーザーの継続利用」という2つの課題を、まとめて解決できたそうです。
TikTok:江崎グリコ株式会社
- 公式アカウント:pocky_japan ポッキー公式
- チャンネル登録者数:1.6万人(2023年7月時点)
TikTokの成功事例としてご紹介するのは、「江崎グリコ株式会社」がポッキー&プリッツの日(11月11日)に展開したSNSキャンペーン施策です。
キャンペーンの内容は、若者世代に人気のインフルエンサーを起用して、ハッシュタグ「#ポッキー何本分体操」を付けた動画の投稿を促すというモノ。
わずか十数秒ながらインパクトの強い動画が数多く投稿され、大きな話題となりました。
5日間という短期キャンペーンにもかかわらず、総再生回数が2,730万回、ユーザー作成動画の投稿数が2万3,600本以上にものぼり、大成功を収めました。
Twitter:ローソン
出展:株式会社ローソン
- 公式アカウント:@akiko_lawson
- 総フォロワー数:790万人(2023年7月時点)
Twitter上で展開しているSNSアカウント運用の成功事例としてご紹介するのは、国内屈指のコンビニチェーン「株式会社ローソン」です。
割引やプレゼントキャンペーンなど、ユーザーにとってお得な情報が頻繁に発信されています。
キャンペーンは基本的に数日間の期間限定ですから、拡散力の高いTwitterを活用することで、短期集中型のSNSマーケティング手法としては、まさにお手本といったところでしょうか。
LINE:ロクシタン
出展:L’Occitane
- 公式アカウント:©LINE Corporation
- 友だち数:2,872万人(2023年7月時点)
LINE屈指の成功事例として挙げられるのが、SNSアカウント運用で「友だち数」2,872万人という驚異的な成果を挙げている、南フランスの大手化粧品ブランド「ロクシタン」です。
LINEならではの強みであるスタンプは、人気クリエイター「にしむらゆうじさん」とのコラボ作品。
このスタンプが、友だち数の増加・自社商品のブランディング・キャンペーンの話題性づくりなど、すべてにおいてポジティブに作用しているようです。
もちろん、メッセージの開封速度が速いLINEを選択し、限定キャンペーンを開催しているのも成功要因の1つといえるでしょう。
2021年にLINEが実施したアンケート調査によると、「すぐ見る」と回答した人が2割、「3〜6時間以内で見る」と回答した人が過半数にのぼっており、実に約8割の人が「その日のうちに見る」と回答しています。
メッセージが開封されるまでタイムラグがメールより短いのは、全SNSの共通点ではあるものの、ここまで確実かつ素早く見て貰えたからこそ、大きな成功に繋がったのでしょう。
Facebook:株式会社ユニクロ
出展:株式会社ユニクロ
- 公式アカウント:@uniqlo · 会社
- 総フォロワー数:115万人(2023年7月時点)
Facebookを活用したSNSマーケティングの成功事例として有名なのが、「株式会社ユニクロ」です。
総フォロワー数115万人も驚異的ですが、119万人が「いいね!」をタップしているのも稀に見る成果といえます。
成功の秘訣は、何といってもビジネス面で信用されやすいFacebookを選択したことでしょう。
海外展開しているユニクロにとって、世界中のユーザーが安心して利用できるFacebookは絶好のビジネスパートナーです。
また、コラボ商品のリリースやバーゲンのお知らせなど、消費者が興味を惹かれるお得な情報を、タイムリーに発信しているのもSNSアカウント運用の成功に繋がっています。
Facebookアカウントで、あえてTwitterのキャンペーン情報を宣伝しているのも注目点です。
SNSマーケティングの参考本2選
最後に、SNSマーケティングを書籍で学びたい方へ向けて、以下の2種類の参考本をご紹介します。
- 初級:SNSマーケティングのやさしい教科書。
- 中・上級:SNS担当者の実務と知識がこれ1冊でしっかりわかる教科書
この参考本を用いて、ぜひSNSマーケティングについて学んでみてください。
初級:SNSマーケティングのやさしい教科書。
出展:Amazon
こちらは、SNSマーケティングの基礎知識を一から学びたい初心者におすすめの1冊。
機能やメリットなどが網羅されているうえ、データ分析のノウハウや具体的な実例も掲載されています。
中・上級:SNS担当者の実務と知識がこれ1冊でしっかりわかる教科書
出展:Amazon
こちらは、「始めて社内のSNSマーケティング担当者に任命された!」という方におすすめの1冊。
基礎はもちろん、実務に活かせる知識までの一通りがわかりやすいイラスト・表付きで書かれている参考本です。
SNSの種類ごとに解説されているので、比較しながら読めるのも嬉しいポイント。
自社にとって、どのプラットフォームが最適なのか迷った時の指針にもなるでしょう。
SNSマーケティングの種類を把握し、自社に合った方法を選ぼう
多くの企業が実績をあげていることからもわかるように、正しい方法で導入できればSNSマーケティングの効果は絶大です。
ただし、SNSマーケティングの種類は目的に合わせて使い分けるのが定石となります。
施策を展開する主なプラットフォームは6種類ありますが、それぞれユーザー層や機能面の特徴に違いがあります。
さらに、用いる手法がSNSマーケティングを運用する目的とマッチしていなければ、期待通りの結果は望めません。
従来型のデジタルマーケティングの成果に満足されていない場合は、ぜひ本記事でご紹介したノウハウを参考にして、SNSマーケティングに挑戦してみてください。
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