中華圏向けKOL・KOCマーケティングの主要SNS5選!日本で活躍している中国系KOLも紹介

まだ日本では馴染みが薄いKOLやKOCについて、インフルエンサーと混同されている方も多いようです。

しかし、KOL・KOC・インフルエンサーの3者には明確な違いがあり、この点を理解していなければ、適材適所の使い分けはできません。

この記事では、KOL・KOC・インフルエンサーの違いについて解説していきます。

日本で活躍している中国系KOLもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

KOL・KOC・インフルエンサーの違いとは?

KOC・KOL・インフルエンサーの違いを端的に表すと、以下のようになります。

特徴専門性信憑性影響力
KOL特定分野の「権威ある専門家」
KOC口コミを投稿している「一般消費者」×
インフルエンサー「ある程度の専門性を備えた人物」だがプロとは限らない

つまり、3者の最大の違いは「専門性の程度」であり、KOLにとって明確なキャリアを備えたプロであることが絶対条件なのに対し、KOCは素人、インフルエンサーは○○に詳しい人という位置づけです。

ここからは、KOC・KOL・インフルエンサーについて個別に解説していきます。

なお、KOLについては以下の記事でも詳しく解説しておりますので、あわせてご一読ください。

KOLとは?

KOL(Key Opinion Leader:キーオピニオンリーダー)とは、特定の分野・業界において絶大な影響力を持つ「権威ある専門家」のことです。

たとえば、単に日本のアニメ好きや日本に旅行した経験があるという、いわゆる自称「日本通」というだけでは、一般的なインフルエンサーに過ぎません。

一方、長年にわたった日本に在住しており、現地のコアな情報を中国などの自国へ向けて発信し続けることで膨大なフォロワーを獲得している人は、KOLとして認知されているのです。

事実、中国では以下の条件を満たしている人物をKOLと呼んでいます。

  • 中華圏で主流のSNSで、絶大な影響力を持っている
  • 特定の分野に精通しているだけでなく、キャリアや専門性が高い
  • 優れたコミュニケーション能力を持っている
  • 新しいものを取り入れる柔軟性を備えている

消費者の多くが「KOLの投稿=信用できる専門家が発信しているファクト情報」と捉えている分、その圧倒的な影響力は一般消費者の口コミとは比べものになりません。

たとえば、大物KOLとして知られるトップライバーの「李佳琦(Austin)」さんは、ライブ1回あたりの売上が約2,000万元(3億8,000万円)にものぼると言われるほど、圧倒的な影響力を持っているのです。

KOCとは?

KOC(Key Opinion Consumer)とは、呼称に「客」を意味するカスタマーが含まれているとおり、自発的に商品の口コミレビューを投稿している「一般消費者」のことです。

あくまで個人的な意見として商品を使用した感想などを投稿し、宣伝目的ではない「本音」によって第三者に影響を与えています。

ただし、KOCの投稿は素人の意見に過ぎないため、大勢の消費者に対して購買意欲を後押しするほどの影響力はありません。

KOLが専門性の高さを武器に消費者の信頼を勝ち取って大きな成果をあげているのに対し、KOCは自らの経験や意見を発信することで、市場にささやかな影響力を与えています。

インフルエンサーとは?

インフルエンサーとは、専門性の高いKOLと一般消費者であるKOCの中間に位置する存在です。

インフルエンサーは、「特定のテーマに詳しい人物」として「消費者に役立つ情報」を発信することで、影響力を発揮しています。

これに対し、KOLは「プロ」として「専門的な情報」を提供しているため、その信憑性は非常に高く、インフルエンサーをはるかに凌ぐ影響力を持っています。

ただし、まだ日本ではKOLが普及しきっておらず、趣味の域を出ない素人インフルエンサーと、専門家にもかかわらずインフルエンサーを名乗っている人が混在している状態です。

日本人KOLとは?

本来KOLは、医療業界で医師などを指す呼称でしたが、近年では「中国発」の新しいマーケティングコンセプトとして用いられています。

そのため、「KOL=中国系のクリエイター」と思われがちですが、これはちょっとした誤解です。

確かにKOLマーケティングは、一般的に中華圏の消費者をターゲットにした海外進出、もしくは日本国内に呼び込むインバウンド施策を指すビジネス用語として使われています。

これは、KOLマーケティングが世界に先駆けて中国で普及した、中華圏に在住している消費者の多さ、この2点が影響しているからです。

事実、「高い専門性」と「絶大な影響力」を兼ね備えたKOLは、アメリカやヨーロッパなど世界各国で活躍しており、緩やかながら日本でも増加傾向にあります。

ちなみに、以下の代表的な日本人KOLの一例です。

  • 伊藤小雪氏:中国Rayの日本専属モデル
  • 大口智恵美氏:元JJ専属ブロガーモデル
  • 河北裕介氏:ヘア&メイクアーティスト/自社ブランドの代表
  • 菱沼未央氏:管理栄養士/惣菜管理士
  • 野尻 真里氏:予防歯科医
  • 小島 真子氏:インテリアコーディネーター・建建物取引主任者・食空間アドバイザー

KOL とKOCの違いを活かす方法とは?

KOLとKOCには専門性のレベルという大きな違いがあります。

しかし、中華圏のKOLマーケティングでは、この「違い」を逆手にとってプロモーション効果を向上させる方法が主流になっているのです。

具体的には、以下の2段階方式を使ってKOLとKOCを併用することで、高い相乗効果が見込めます。

  1. 無償サンプリングなど、費用を抑えて大勢のKOCに自社商品を試してもらう
  2. リアルな口コミ投稿が増える
  3. ネット上で話題となり、流行の下地が整う
  4. 専門性の高いKOLによって強力に訴求する

KOLはその専門性の高さと影響力の大きさから、一般的なインフルエンサーよりもギャラが高額になりがちですが、KOCなら費用をかけずに協力してもらうことができます。

一般消費者であるKOCに自社商品を試してもらい、リアルなレビュー投稿数を増やして話題を広めておくことで、よりKOLの投稿に注目が集まりやすくなるのです。

このように、中国を中心とする中華圏ではKOLとKOCの違いを踏まえたうえで、両者を併用する手法が主流になっていると覚えておきましょう。

なお、詳しくは後述しますが、KOLとKOCを併用するなら中国版TikTokである抖音(Douyin/ドウイン)がおすすめです。

中華圏向けKOL・KOCマーケティングの主要SNS5選

KOLやKOCを起用したマーケティング施策を実施する際は、ターゲット国で人気のSNSを活用するのがセオリーです。

そこでこの章では、中華圏向けKOL・KOCマーケティングの主要SNSとして、以下の4種類をご紹介していきます。

  • 微信(WeChat/ウィーチャット)
  • 微博(weibo/ウェイボー)
  • 小红書(Little Red Book/シャオホンシュー)
  • 抖音(Douyin/ドウイン)
  • 哔哩哔哩(bilibili/ビリビリ)

ここからは、上記5種類のSNSにはどのような特徴があるのか、順番に解説していきます。

微信(WeChat/ウィーチャット)

微信(WeChat/ウィーチャット)とは、中国版LINEと呼ばれているインスタントメッセンジャーアプリで、以下のような特徴があります。

▼微信(WeChat/ウィーチャット)の特徴

  • メッセンジャー機能を備えた中国版LINE
  • LINE+Facebook+Twitterのようなイメージ
  • 月間アクティブユーザー数は全世界で13億2,700万人(2023年10月時点)
  • メインユーザー層は35歳以下の若年層(全体の約73%に相当)

Facebookのようなシェア機能や支払いに使えるWeChat Payなどの機能が備わっているため、企業がオフィシャル情報を発信する手段としても選ばれています。

記事形式でKOLの商品紹介を蓄積できる点にあります。

SNSのようにフロー型ではないため、記事としてしっかり読んでもらえ、購入の参考にしてもらえる点は、WeChat(微信)ならではの大きなメリットといえるでしょう。

微博(weibo/ウェイボー)

微博(weibo/ウェイボー)とは、世の中の最新情報がチェックできる中国発のマイクロブログアプリです。

イメージとしてはX(旧Twitter)に近いサービスで、以下のような特徴があります。

▼微博(weibo/ウェイボー)の特徴

  • 拡散力が高い中国版Twitter
  • 月間アクティブユーザー数は全世界で5億9,900万人(2023年10月時点)
  • メインユーザー層は17歳~33歳(全体の約79%に相当)

タレント・アーティスト・アスリート・著名人といった有名人はもちろん、名だたる企業が公式アカウントを開設し、新商品のリリース情報などを発信しています。

トレンドやニュースをはじめ、愛用しているブランドの最新情報をチェックするには、最適なアプリと言えるでしょう。

小红書(Little Red Book/シャオホンシュー)

小红書(Little Red Book/シャオホンシュー)とは、直接商品を購入できるEC機能が備わっている、中国発の口コミ投稿型SNSです。

特徴として、以下の5点が挙げられます。

▼小红書(Little Red Book/シャオホンシュー)の特徴

  • EC機能搭載の中国版Instagram
  • Instagram+Amazonのようなイメージ
  • 月間アクティブユーザー数は全世界で約2億6,000万人(2022年末時点)
  • メインユーザー層はZ世代(全体の約72%に相当)
  • メインユーザー層の約70%が女性

女性が買い物をする前に情報収集を行うツールとして欠かせない存在になっており、ファッション・コスメ・スキンケアに関するコンテンツが大半を占めています。

ちなみに、小红書におけるKOLのレベルはフォロワー数によって区別されており、目安は以下の通りです。

  • トップKOL:フォロワー数50万人以上
  • 中間KOL:フォロワー数5~50万人
  • 一般KOL:フォロワー数1~5万人
  • KOC:フォロワー数1万人以下

抖音(Douyin/ドウイン)

抖音(Douyin/ドウイン)とは、短期間にユーザー数を爆発的に増やしているTikTokのリアルな中国版です。

ショート動画に特化している抖音(Douyin/ドウイン)の特徴として、以下の6点が挙げられます。

▼抖音(Douyin/ドウイン)の特徴

  • 本家本元の中国版TikTok
  • 月間アクティブユーザー数は全世界で12億1,800万人(2023年10月時点)
  • 日本のアクティブユーザー数は1,690万人以上(2021年10月時点)
  • ショート動画に特化している
  • 中華圏でのメインユーザー層は、日本の10代~30代より高く幅広い
  • KOLとKOCの併用に向いている

特筆すべきは、KOLとKOCの併用に適しているという強みです。

抖音(Douyin)は他のSNSに比べてユーザー数およびコンテンツが膨大なうえ、アルゴリズムによっておすすめ動画が自動表示される仕組みになっています。

そのため、ギャラが高額なKOLでテコ入れした動画であろうと、商品サンプルを対価としてPRを依頼するKOCの動画であろうと、投稿当初に表示される確率に大きな差はありません。

大勢のKOCで流行の下地を作りつつ、専門性の高いKOLによって強力に訴求することで、相乗効果が期待できます。

以下は、中華圏の抖音(Douyin )におけるKOLのレベルを、フォロワー数で区別した際の目安です。

  • トップKOL:フォロワー数500万人以上
  • 中間KOL:フォロワー数100~500万人
  • 一般KOL:フォロワー数10~100万人
  • KOC:10万以下

上記の通り、前述した小红書(Little Red Book)と比べると、はるかに規模が大きいのが分かります。

哔哩哔哩(bilibili/ビリビリ)

哔哩哔哩(bilibili/ビリビリ)とは、中華圏で主流の動画専門プラットフォームです。

特徴として、以下の4点が挙げられます。

▼哔哩哔哩(bilibili/ビリビリ)の特徴

  • 動画に特化した中国版YouTube
  • 字幕機能つきなので、中国版ニコニコ動画とも呼ばれている
  • 月間アクティブユーザー数は全世界で3億1,500万人(2023年3月31日時点)
  • メインユーザー層は1990年代後半以降に生まれたZ世代

とくに哔哩哔哩(bilibili)で人気を集めているのが、日本のアニメに関するコンテンツです。

インバウンド施策としてアニメクリエイターを起用しているタイアップ事例も、多々見受けられます。

日本で活躍している中国系KOL4選!

この章では、日本在住の中華系KOLとして、以下の4名をご紹介していきます。

  • 「林萍在日本(リンピン ザイ リーベン)」さん
  • 「Min老师在东京(Min老師在東京)」さん
  • 「玲子Reiko」さん
  • 「Alice住在东京」さん

ここからは、上記4名にはどのような強みがあるのか、個別に解説していきます。

なお、インバウンドまたはアウトバウンド施策として起用する外国人クリエイターをお捜しの場合は、以下の記事もあわせて参考にしてください。

「林萍在日本(リンピン ザイ リーベン)」さん

最初にご紹介する日本で活躍している中華系KOLは、日本酒ソムリエの資格を持つ「林萍在日本(本名:林羊羊(リン・ヤンヤン)」さんです。

中国出身の林羊羊さんは、日本在住KOLの先駆けと呼ばれる存在で、インバウンドプロモーションを得意とされています。

事実、林羊羊さんに倣って多くの同業者がハンドルネームに「在日」を付けるようになりました。

その影響力は凄まじく、すでに2019年時点で微博(weibo)のフォロワーが約480万人、さらにライブ配信の平均アクセス数は200万回以上にのぼるほど、中国人観光客に対して絶大なPR力を持っているのです。

東日本大震災が発生した直後には、いち早く現地の情報を投稿して中国人観光客を安心させました。

日本酒だけにとどまらず、信機器・ホテルチェーン・お菓子メーカー・コスメ・温泉で有名な観光地など、あらゆるジャンルでタイアップ案件を手掛けているマルチ性も、「林萍在日本(リンピン ザイ リーベン)」さんの魅力です。

「Min老师在东京(Min老師在東京)」さん

続いてご紹介する日本で活躍している中華系KOLは、日本医科大学で講師を務めている「Min老师在东京(Min老師在東京)」さんです。

得意とするジャンルは20代~30代向けのコスメやスキンケアといった美容系で、医療従事者ならではの専門的な解説が人気を集め、小红書(Little Red Book)では50万人以上のフォロワーを獲得されています。

「Min老師在東京」さんは、これまで数多くの美容系ブランドとコラボしており、以下はその一例です。

  • 資生堂
  • HR
  • LA MER
  • Biotherm

日本語も堪能なので、日本の商材を中華圏へ向けて紹介するアウトバウンドだけでなく、インバウンド施策もこなせる貴重なKOLと言えます。

「玲子Reiko」さん

続いてご紹介する日本で活躍している中華系KOLは、東京在住のKOLとして活躍されている「玲子Reiko」さんです。

中華圏向けの情報は、主に小红書(Little Red Book)や抖音(Douyin/ドウイン)で、日本向けの情報はYouTubeで発信されています。

「玲子Reiko」さんが最も得意とするジャンルは、中華圏へ向けて紹介する日本のグルメやライフスタイルについての動画レポートです。

日本在住だからこそ提供できる情報が、中華圏に住む人々の興味をそそっています。

また、中華圏に住む女性のZ世代にとって大きな関心事である日本のネイルアートを紹介しているのも、「玲子Reiko」さんの特徴です。

以下をはじめ、これまで数多くの中国食品ブランドとコラボを行っています。

  • ネスレ
  • SYRINX希芸

「Alice住在东京」さん

続いてご紹介する日本で活躍している中華系KOLは、東京在住9年目(2024年8月時点)を迎える「Alice住在东京」さんです。

日本化粧品检定2级の資格を取得しているだけあって、専門家ならではの視点で日本ブランドのコスメやスキンケアについて解説をされています。

デパコスからドラッグストアで販売しているプチプラコスメ、無印良品などあらゆる価格帯の美容アイテムを網羅しているのが特徴です。

以下の通り、中華圏で利用率が高い複数のSNSを駆使して日本の情報を発信されています。

  • 小红書(Little Red Book)
  • 抖音(Douyin/ドウイン)
  • 哔哩哔哩(bilibili/ビリビリ)

売り場の臨場感が伝わるよう、実際に店頭へ足を運んで動画を撮影しているのも、「Alice住在东京」さんが中華圏の消費者に支持されている理由なのでしょう。

以下は、「Alice住在东京」さんがこれまで担当した企業案件の一例です。

  • CURE
  • REVITAL

中国系KOLを起用したマーケティング事例

出典:PR TIMES 中国WeiboパワーKOL「日本零君」のインバウンド動画制作・配信サービス「零醤的日本攻略(ゼロちゃんの日本攻略)」を開始

こちらは、中国を代表するSNSである「Weibo」にて、日本情報のパワーKOLとして不動の地位を誇っている「日本零君」さんと、インバウンドテクノロジーサービスを提供する&INTECH株式会社がタッグを組んだマーケティング事例です。

「日本零君(日本ゼロくん)」さんと在日中国モデルを同時起用し、訪日旅行者視点で撮影・編集された動画は、たった1回の実施で以下のような成果をあげています。

  • 総閲覧数:200万以上
  • コメント数:数百

「日本零君」さんと言えばWeiboで381万人(2024年8月時点)ものフォロワーを獲得している、日本情報系KOLの代表的な存在です。

顔出しは行っていないものの、中華圏はもちろん日本での知名度も申し分ありません。

なお、Yizhiboでは「日本零醤(日本ゼロちゃん)」というハンドルネームで、二児のママとして子育て情報などを発信しており、約400万人ものフォロワーを獲得されています。

動画配信やライブ配信をメインに、化粧品、ファッション、グルメ、ママ・ベビー用品、、商業施設、観光/レジャースポットなど、日本関連の情報を幅広く扱っているのも、「日本零君」さんの大きな強みです。

まとめ

この記事では、KOL・KOC・インフルエンサーの違いを明らかにしたうえで、日本で活躍している中国系KOLをご紹介してきました。

3者には固有の特徴と強みがあるため、適材適所で使い分けることが大切です。

専門的な知識や絶大な影響力を必要とする場合はKOLを、リアルな口コミ投稿を促して流行の土台を作るならKOCを起用するのが、最良の選択と言えます。

日本でも、専門的な資格を有したインフルエンサーがKOLへとクラスチェンジする流れが加速しています。

KOLをはじめ、KOCやインフルエンサーの起用を検討する際は、ぜひ本記事でご紹介した情報を参考にしてください。

一覧へ戻る

おすすめの代理店

ディレクション型

株式会社ハーマンドット

マッチング型

expaus(株式会社Lxgic)

XBUZZ(株式会社エックス)

事務所型