TikTok Shopとは?主な機能や導入するメリット、効果的な活用ポイントなども解説
TikTok Shopとは、TikTokが提供している「EC機能」のことです。
実装すると、TikTok内部で商品の購入・売買を完結させることができるようになります。
残念ながら、2024年9月時点の日本ではまだ使用することができないものの、マーケティング業界では早期の導入が期待されています。
そこで今回は、将来的なローチンに備えてTikTok Shopの機能や導入するメリット、注意点などをまとめてみました。
海外での成功事例もご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
TikTok Shopとは?
TikTok Shop(ティックトックショップ)とは、商品の購入・売買をTikTokのプラットフォーム上で可能にする「EC機能」のことです。
2022年11月から一部の国でTikTok Shop がローチンされて以降、ブランドはもちろんクリエイターからでも直接商品が購入できるようになり、多くの成功事例が報告されています。
つまりTikTokは、ショート動画を視聴するためだけのプラットフォームから、シームレスなビジネスツールへと本格的に進化しているのです。
TikTok Shopが使える国!日本はいつ?
結論から言うと、2024年9月現在では日本でTikTok Shopを使用することはできません。
TikTokビジネスヘルプセンターによると、TikTok Shopは中国でも導入されておらず、現時点で使用できるのは以下の8か国のみとなっています。
- アメリカ
- イギリス
- インドネシア
- マレーシア
- フィリピン
- シンガポール
- タイ
- ベトナム
TikTok Shopが日本で導入される予定は発表されていませんが、国内のTikTok人気を踏まえると、そう遠くない将来には使えるようになると考えられます。
TikTok Shopの機能
TikTok Shopには、商品やサービスを簡単かつ効果的に訴求し、コンバージョン率を向上させるための、以下6つの機能が搭載されています。
- Direct Integration(ダイレクトインテグレーション)
- Product Links(プロダクトリンクス)
- Collection Ads(コレクションアド)
- LIVE shopping(ライブショッピング)
- Dynamic Showcase Ads(ダイナミックショーケースアド)
- Partner Integration(パートナーインテグレーション)
ここからは、上記6つの機能について個別に解説していきます。
Direct Integration(ダイレクトインテグレーション)
Direct Integrationとは、商品の出品・購入・決済までの手続きを、すべてTikTok内で完結さえる機能です。
外部サイトを経由する必要がないため、よりズームに取引を完了させることができるようになるうえ、TikTokの視聴を続けやすくする役目も担っています。
Product Links(プロダクトリンクス)
Product Linksとは、TikTok動画に商品の詳細ページを表示する機能です。
この機能によって、ユーザーはTikTok上で商品の詳しい情報が把握できるようになるため、企業やクリエイターは以下のメリットが得られます。
- ユーザーに対して、より強く購買を促すことができる
- コンテンツおよびアプリからの離脱率が改善する
Collection Ads(コレクションアド)
TikTok Shopに搭載されているCollection Adsとは、スワイプすると複数の商品情報が閲覧できる商品カードのような小さなウィンドウを、インフィード動画に表示する機能です。
インフィード動画とは、タイムライン型の投稿間に表示される広告動画を指します。
「Product Links」が特定の商品ページに特化しているのに対し、「Collection Ads」はウィンドウから遷移した先がギャラリーページになっているため、ユーザーに選択肢を提供できるうえ、複数の商品をまとめて訴求できるのが強みです。
LIVE shopping(ライブショッピング)
TikTok Shop に装備されているLIVE Shoppingとは、ライブ配信で紹介している商品やサービスの詳細ページを、動画と平行して表示する機能です。
リアルタイムで繋がっている視聴者が、商品に興味を持ってくれた絶好のタイミングで詳細ページが表示できるので、より強く購買意欲を促進することができます。
ライブ配信を見ながら商品が購入できるこの機能は、他サイトへ飛ぶ手間が省ける分、ユーザーにとっても利便性の高いサービスです。
Dynamic Showcase Ads(ダイナミックショーケースアド)
Dynamic Showcase Adsとは、ユーザー属性から最適な広告を表示する、デジタル広告において欠かせない機能です。
過去の行動パターンからユーザーの傾向を分析し、商品を紹介している動画の中から最適なコンテンツを表示できるようになるため、リターゲティング広告のような効果が期待できます。
Partner Integration(パートナーインテグレーション)
Partner Integrationとは、TikTokとECサイトを連携させて、商品データを共有・管理する機能です。
個別に管理する手間が減るのはもちろん、これまで在庫数が共有できずに被っていた顧客損失のリスクも軽減されます。
ECサイトに掲載している商品をTikTok上で簡単に紹介できるようになるのも、Partner Integrationの大きな強みです。
ちなみに、TikTokは連携できるECサイトの数を増やしていく方針を公式に発表していますので、マーケティング業界では今後の見通しとして、さらに利便性の高いビジネスツールとして進化すると予想されています。
TikTok Shopを導入するメリット
なぜ、まだ日本で導入されていないTikTok Shopが国内で注目されているのか、その理由は、以下のようなメリットが得られると世界的に評判になっているからです。
- より多くの商品・サービス情報を発信できる
- コンバージョンされやすい
- 企業案件を依頼しやすい
ここからは、上記4つのメリットについて順番に解説していきます。
より多くの商品・サービス情報を発信できる
これまで、TikTokはショート動画に特化しているからこそ手軽に視聴できる反面、伝えられる情報が限られているのが弱点でした。
この弱点をカバーすべく、TikTok Shopには商品やサービスの情報をより多く伝えられる、Product LinksやCollection Ads、LIVE Shoppingといった機能が搭載されているのです。
コンバージョンされやすい
画像がメインのECサイトとショート動画がメインのTikTokには、商品を訴求するうえで固有の強みがあります。
ECサイトは商材について詳しく説明しやすく、一方のTikTok動画では要点だけをまとめて伝えられるのが魅力です。
ただし、近年の傾向としてユーザーの多くが「画像が加工されているリスク」を抱いており、あるがままの状態を撮影した動画の方が信用されやすくなっています。
その点、TikTok Shopなら動画に詳細ページを組み込むことができるため、コンバージョンの向上が期待できるのです。
企業案件を依頼しやすい
アフィリエイトプログラムによって直接クリエイターへ依頼できるのも、TikTok Shopならではのメリットです。
自社ブランドや商品と親和性の高いTikTokerが簡単に探せるようになる分、タイアップの交渉や方針のすり合わせなど、すべての工程がスムーズに進みます。
TikTok Shopの始め方
TikTok Shopを始める大まかな手順は、以下の4ステップです。
- TikTok For Businessのアカウントを開設する
- 広告アカウントを登録する
- ビジネス情報を登録する
- BASE、SHOPLINE、Shopify、opencartなどと連携する
順番に解説していきます。
TikTok For Businessのアカウントを開設する
TikTok Shopを利用するには、個人・法人を問わず必ずTikTok For Businessのアカウントを開設しなければなりません。
そもそもTikTok For Businessのアカウントを開設していなければ、TikTok広告そのものが投稿できないのです。
以下の手順に沿って、TikTok For Businessのアカウントを開設しましょう。
- TikTokのアカウントを作成
- TikTokにログインし、プロフィール画面を表示する
- プロフィールの「設定」を選択
- 「アカウント管理」を選択
- 「ビジネスアカウントに切り替える」を選択
広告アカウントを登録する
TikTok Shopを導入するには、広告主の情報と予算や課金方式などを設定するために、広告アカウントを登録する必要があります。
広告アカウントを登録する手順は、以下の通りです。
- TikTok For Businessにアクセスする
- 「今すぐ開始」を選択
- メールアドレス、パスワードを入力
- 入力したメールアドレスに届いた認証コードを入力
- 「アカウントの登録」を選択
- 国、会社名、通貨、タイムゾーンなどを選択
- 「登録」を選択して完了
ビジネス情報を登録する
広告アカウントを登録すると、ビジネス情報の入力画面が表示されるので、各項目を埋めていきましょう。
Shopify・SHOPLINE・opencart・BASEなどを連携する
以下のようなシステムを使用している場合は、TikTokと連携させる必要があります。
- BASE:ネットショップ作成サービス
- SHOPLINE:ECサイトが構築できるプラットフォーム
- Shopify:サブスクリプション型ECプラットフォーム
- opencart:複数のオンラインストアが管理できるシステム
連携作業はTikTok側ではなく、ECサイト側で完結する仕組みになっています。
たとえば、ShopifyとTikTokを連携する際は、以下の簡単2ステップで完了です。
- Shopifyのアカウントでログインする
- 「販売チャネル」に「TikTok」を追加する
TikTok Shopの2つの注意点
何かとメリットばかりが注目されがちなTikTok Shopですが、以下のようなデメリットがあることも把握しておきましょう。
- グローバル規模の越境ECに導入するには時期尚早
- 広告動画の増加によるユーザー離れ
ここからは、上記2つの注意点について順番に解説していきます。
グローバル規模の越境ECに導入するには時期尚早
「TikTok Shopが使える国!日本はいつ?」で開設した通り、2024年9月時点でTikTok Shopが導入できるのは、世界で8か国のみです。
グローバル規模の越境ECとして活用するには、時期尚早と言えるでしょう。
広告動画の増加によるユーザー離れ
広告動画の増加は、純粋に動画を楽しみたいユーザーの離脱要因になります。
たしかに、他のSNSに比べて広告感が薄いのがTikTok広告の強みではあるものの、あまりに多すぎると「商売根性」が透けて見え、不信感を与えかねません。
ユーザーの離脱リスクを考慮して、あくまで通常投稿に力を入れる方が賢明です。
TikTok Shopを効果的に活用するポイント
TikTok Shopの効果を最大化するためのポイントとして、以下の5点があげられます。
- 広告感を抑える
- インフルエンサーを起用する
- ターゲットを絞り込んでおく
- ライブ配信で注目を引くような企画を実施する
- ライブ動画を配信する日時を告知しておく
順番に解説していきます。
広告感を抑える
企業がSNSに商材をPRする広告を出す目的は、そのほとんどが売上アップによる収益の増加です。
加えて、TikTok Shopはユーザーに購買を促す、いわば売手側をサポートしてくれるツールと言えます。
だからと言って、ユーザーの共感が得られないような「あからさまな広告」では、意味がありません。
たとえ広告動画であろうと、あくまでユーザーにとって役立つ情報を提供するのが、コンテンツの本来あるべき姿です。
エンタメ性を重視して「遊び心」をプラスするなど、広告感を抑える工夫を講じてみましょう。
インフルエンサーを起用する
TikTok Shopを効果的に使うには、インフルエンサーを起用するのも有効な手段です。
インフルエンサーによって、企業側とは異なる演出と切り口で作り出されたクリエイティブは、一般的な広告動画よりもオーガニック投稿に近いテイストを持っています。
何より、同じ広告動画であっても企業側が作成した場合に比べて、ユーザーから信用されやすいというアドバンテージがあるのです。
ターゲットを絞り込んでおく
ユーザーの「おすすめ覧」に広告が配信されるVideo Shopping Adsを活用する場合、最初から備わっているターゲットの絞り込み機能を使わない手はありません。
以下の通り、ターゲットの絞り込みに使える項目は多岐にわたっており、精度の高いターゲティングが可能です。
▼デモグラフィック
- 性別
- 年齢
- 地域
- 言語
▼ユーザーリスト
- TikTokで接触したユーザー
- 自社で作成した顧客リストに類似のユーザー
▼興味&行動
- 興味・関心ターゲティング
- 行動ターゲティング
- 動画インタラクション
- クリエイターインタラクション
- ハッシュタグインタラクション
▼デバイス
- システムバージョン
- デバイスモデル
- 通信環境
- キャリア
- デバイス価格
この機能を使いこなすことができれば、自社ブランドや商材に興味・関心を寄せている「見込み客」に対してピンポイントで訴求できるため、費用対効果が格段にアップします。
ライブ配信で注目を引くような企画を実施する
TikTok Shopに備わっている「LIVE Shopping」を使えば、ユーザーは動画を見ながら商品を購入することができます。
とはいえ、ECサイトの商品紹介ページを読み上げているような動画では、コンバージョンを爆発的に向上させることはできません。
たとえば、複数のTikTokerに共演を依頼する、あるいはあえて同業他社とコラボするなど、SNSで拡散されるような話題性の高い企画を立ててみましょう。
ライブ動画を配信する時刻を告知しておく
ユーザーとリアルタイムで交流できるライブ動画は、年々ニーズが増加しています。
近年ではライブ動画専門のライバーも増えており、その人気は疑いようもありません。
TikTok ShopにLIVE Shopping機能が搭載されているのも、この時流を踏まえた結果と考えられます。
ただし、ライブ動画の配信予定が分からなければ、ユーザーはリアルタイムで視聴できるという醍醐味が味わえません。
ライブ動画を配信するときは「次回は○月○日○時から配信予定」など、必ず事前告知を行って、視聴者を取りこぼさないように工夫しましょう。
TikTok Shopに関するよくある質問
この章では、TikTok Shopに関するよくある質問として、以下の3つをご紹介します。
- 日本でTikTok Shopが実装されるのはいつ?
- TikTok Shopについて学ぶ方法は?
- TikTok Shop とShopifyの違いは?
ここからは、上記3つのよくある質問について解説していきます。
日本でTikTok Shopが実装されるのはいつ?
結論から言うと、TikTok Shopが日本で実装される予定日は決まっていません。
TikTok Shopはいくつかの国で実装されていますが、まだ試験段階とも言える状況です。
ただし、実際に実装された国々での反響を踏まえると、近い将来、日本で使えるようになる可能性は十分にあります。
TikTok Shopが実際に日本で実装された時、他社に先駆けて使いこなせるように今から準備しておけば、大きな成果が期待できます。
TikTok Shopについて学ぶ方法は?
TikTok Shopに興味がある方は、運営する手順や売上を伸ばす方法、広告の制作方法などについて学べる、「TikTok Shop Academy」を閲覧してみましょう。
以下は、「TikTok Shop Academy」で学べる項目の一例です。
- TikTok Shopのセットアップ方法
- TikTok Shopの登録方法
- TikTok Shopの商品管理
- TikTok Shopのアカウント管理
- TikTok Shopで顧客と取引する方法
- TikTok Shopを運営する場合の注意点
TikTok Shop とShopifyの違いは?
TikTok Shop とは、商品の購入・売買を可能にする「プラットフォーム内のEC機能」のことです。
これに対し、Shopifyとは簡単にECサイトが構築できるサブスクリプション型の「プラットフォーム」そのものを指します。
ただし、TikTok Shopには外部のECサービスと連結できるPartner Integration機能が備わっているため、Shopifyと紐付けることで在庫情報の共有管理が可能です。
TikTok Shopの成功事例
最後に、TikTok Shopの成功事例として、以下2つのケースをご紹介します。
- Skin1004(美容ブランド)
- My Protein×GenZ(フィットネスブランド)
TikTok Shopの訴求力はどの程度なのか、個別に解説していきます。
Skin1004(美容ブランド)
最初にご紹介するTikTok Shopの成功事例は、韓国の美容ブランド「スキンエンジェル」です。
東南アジアへの進出を目標にTikTok Shopを導入し、動画視聴キャンペーンやTikTok LIVE広告などを駆使した結果、以下の通りインドネシアで大成功を収めました。
- 総売上高(GMV):8.58倍へ増加
- 動画ショッピング広告ROAS:641%
- LIVEショッピング広告ROAS:431%
My Protein×GenZ(フィットネスブランド)
こちらは、ヨーロッパのフィットネスブランド「My Protein」と、ソーシャルコマースエージェシーの「GenZ社」がタッグを組み、TikTok Shop初のコラボレーションキャンペーン広告で成功した事例です。
まずは、21名のインフルエンサーを起用して話題を生み出し、さらに試飲に協力してくれたユーザーに正規の商品をキャンペーン価格で提供することで、売上の拡大に成功しました。
- 5万食以上の売上を達成
- 同ブランドのフィットネスウェアの売上も向上
まとめ
この記事では、TikTok Shopに装備されている機能や導入後に得られるメリットなどについて解説してきました。
TikTokが日本で流行り始めた頃は、10代~20代の若年層に人気が集中していましたが、わずか数年でビジネスパーソンまでユーザー層が拡大しています。
この現象を踏まえると、「娯楽」がメインだったTikTokが「ビジネスツール」として進化しているのも、当然の結果と言えるでしょう。
事実、TikTokがモール型ECに力を入れているのは、衆知の事実です。
まだ日本ではTikTok Shopを使用することはできませんが、海外での成功事例を見る限り、対象国が増加すると予想されています。
TikTok Shopが日本でローンチされた際には、ぜひ本記事でご紹介した情報お役立てください。
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