インフルエンサーキャスティングとは?メリットと成功させるコツを紹介
インフルエンサーキャスティングとは、依頼主にとって最適なPR人材を選定する行為です。
インフルエンサーをキャスティングする方法は4通りから選べますが、企業の状況によって向き不向きがあるため、安易に選択すると費用と時間がムダになるばかりか、ブランドイメージにダメージを負いかねません。
そこで今回は、インフルエンサーキャスティングのメリットとデメリットを踏まえたうえで、成功させるコツについて解説していきます。
キャスティング方法の選び方についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
インフルエンサーキャスティングとは?
インフルエンサーキャスティングとは、依頼主の目的を達成するために最適なPR人材を選定し、マッチングするサービスのことです。
キャスティング(casting)とは、日本語で劇や映画で役者を割り振る「配役」を意味します。
つまり、消費者に対して強力な影響力を持つインフルエンサーに、ブランドや商材のPR役を任せる行為を指し、マーケティング業界では「広告への配役」という意味を持っているのです。
適切なインフルエンサーをキャスティングするには、依頼主である企業のブランドイメージ・商品の強みやテイスト・施策の目的などを深く理解し、相性の良さを見極めなければなりません。
逆説的に言えば、適切なインフルエンサーをキャスティングできれば、かなりの高確率で大きな成果が見込めます。
消費者の多くが購入する商品や利用するサービスをSNS上で比較検討している昨今、InstagramやTikTokなどで絶大な影響力を放っているインフルエンサーは、企業にとって絶好のPR人材なのです。
インフルエンサーをキャスティングするメリット
インフルエンサーをキャスティングするメリットは多岐にわたりますが、とくに企業にとって大きな利点となるのが以下の5点です。
- フォロワーにとって信頼しているインフルエンサーの発言は、信用に値する
- 広告なのに押し売り感が薄いため、消費者に共感されやすい
- SNS上で注目されると、ユーザー伝いに拡散されて認知度が短期間でアップする
- 拡散力が高いため、ターゲット層から外れていた消費者にも情報が届く
- テレビCMや雑誌といった従来の広告媒体よりも、ターゲットを絞ってPRできる
消費者の多くは、広告の裏側にある企業の「買って欲しい!」「利用して欲しい!」という下心を、瞬時に察知します。
なかには、SNS広告に嫌悪感を覚えて内容を見ずにスキップする人もいるほどです。
一方、フォロワーとインフルエンサーは信頼関係で結ばれているため、宣伝文句ではなくリアルな口コミとして共感を呼びます。
つまり、フォロワーの信頼を勝ち取っているインフルエンサーには、「いいね!」をタップしたりECサイトへ移動したり、消費者に次のアクションを促す力があるのです。
近年では、InstagramやTikTokのライブ配信で商材をPRしつつ、その場でECサイトへの訪問を促して購買につなげる施策で、多くの企業が爆発的な成果をあげています。
インフルエンサーをキャスティングするデメリット
何かとメリットばかりがフォーカスされがちですが、インフルエンサーキャスティングには、以下のようなデメリットもあります。
- インフルエンサーの人選を誤ると、十分な成果は得られない
- ステルスマーケティングの予防策が必須
最大のデメリットは、人選ミスによる被害です。
単純に相性が悪かっただけなら売上の伸び悩み程度で済みますが、ITリテラシーが欠如しているインフルエンサーをキャスティングしてしまうと、ブランドイメージそのものがダメージを負いかねません。
ITリテラシーは高いレベルで保てているか、あるいはプロモーションの方向性はズレていないかなど、インフルエンサーと密に連絡を取って認識を共有しておく必要があります。
また、インフルエンサーのオリジナル性を阻害しない範囲で、あらかじめ禁止事項を定めておくのも有効な手段です。
インフルエンサーキャスティングを成功させるコツ
インフルエンサーキャスティングの最大のリスクは、誰を起用するかで結果が大きく変動するという点です。
投稿を確実にターゲットへ届け、商品の魅力を的確に伝え、最終的に目的を達成するためには、「適切なインフルエンサー」を選定できるかどうかにかかっています。
そこでこの章では、人選で重視すべきポイントを中心に、インフルエンサーキャスティングを成功させる以下4つのコツについて解説していきます。
- フォロワー数に惑わされない
- フォロワーとの関係性を重視する
- 施策の目的を定める
- 商材と好相性のSNSで活躍している人材を選ぶ
では早速、順番に見ていきましょう。
フォロワー数に惑わされない
フォロワー数が多いインフルエンサーをキャスティングしたからと言って、必ずしもSNSマーケティングでより良い結果が出せるとは限りません。
たしかに、100万人を超えるメガインフルエンサーは知名度が高く、世間に与える影響力も絶大です。
そのため、ブランドの認知度アップや新商品のリリース情報を広めるのが目的であれば、メガインフルエンサーはまさに最適な人材と言えます。
その一方で、フォロワー数が多いインフルエンサーには以下のような欠点があります。
- キャスティング費用が高額になりがち
- フォロワーとの関係性が浅い
- 肝心のエンゲージメント率が低い
つまり、フォロワー数が多くなるほど一人ひとりと親密な関係性を築くのが難しくなるため、インフルエンサーが発信する情報がテレビで流れてくる宣伝文句のように伝わってしまうのです。
そのため、肝心のエンゲージメント率が低くなる傾向が複数の調査結果で明らかになっています。
これに対し、フォロワー数が数万人ほどのマイクロインフルエンサーの場合は、フォロワーとの距離が近い分だけ、発信している情報が好意的に受け止められやすく、売上などのエンゲージメントも高くなりがちです。
インフルエンサーキャスティングを成功させるには、フォロワー数にばかりとらわれず、目的に合わせて起用する人材を見極める必要があります。
なお、フォロワー数とエンゲージメント率の関係性については、以下の記事で詳しく解説しておりますので、あわせてご一読ください。
フォロワーとの関係性を重視する
インフルエンサーキャスティングを成功させる2つ目のコツは、フォロワーとの関係性にフォーカスすることです。
一般消費者であるフォロワーにとって、ほとんどのメガインフルエンサーが芸能人のような遠い存在なのに対し、マイクロインフルエンサーは憧れの対象であると同時に、手が届きそうな身近な存在でもあります。
しかも、旅行や子育てなど同じテーマに関心を寄せているのですから、仲間意識も相まって強い親近感を覚えるフォロワーも少なくありません。
この距離感が、フォロワーに次のアクションを促す要因になっており、フォロワーと親密な関係性が築けているインフルエンサーほど、PR効果が高くなるのです。
ただし、マイクロインフルエンサーの中にはフォロワーとのコミュニケーションを疎かにしている人も少なくありません。
フォロワーからのコメントに対してこまめに返信しているか、質問や相談には親身になって答えているかをチェックしてみましょう。
良好な関係性が築けているかどうかも、適切なインフルエンサーを選ぶ際の大きなジャッジポイントになるのです。
商材と好相性のSNSで活躍している人材を選ぶ
インフルエンサーキャスティングを成功させる3つ目のコツは、商材と好相性のSNSで活躍している人材を選ぶことです。
まずは、主要SNSとインフルエンサーマーケティングでよく扱われている商材の相性をまとめた一覧表をご覧ください。
ジャンル | X(旧Twitter) | TikTok | YouTube | |
---|---|---|---|---|
美容・コスメ系 | ◎ | △ | ○ | ○ |
アパレル・ファッション系 | ◎ | △ | △ | △ |
生活雑貨・インテリア・DIY系 | ○ | ○ | △ | ◎ |
家電・ガジェット系 | ○(リール) | △ | ○ | ◎ |
旅行・アミューズメント・アウトドア系 | △ | ○ | ◎ | ○ |
料理・飲食・グルメ系 | △ | ◎ | △ | ○ |
子育て・ファミリー系 | ○ | △ | ○ | ○ |
漫画・イラスト・アート系 | ◎ | ◎ | ◎ | ○ |
音楽・ダンス系 | △ | △ | ◎ | ◎(ショート) |
ダイエット・スポーツ系 | △ | △ | △ | ◎ |
インフルエンサーキャスティングを行う場合、上記の表を参考にして商材と相性の良いSNSで活躍している人材を選びましょう。
なお、商材のジャンルとSNSの相性については以下の記事で詳しく解説しておりますので、ぜひ参考にしてください。
施策の目的を定める
ここまでは、インフルエンサーキャスティングを成功させるために最も重要な、「人材の選び方」について解説してきました。
ただし、どんなに理想的なインフルエンサーを起用しても、ゴールが定まっていなければ期待通りの成果は得られません。
商品レビューが得意なインフルエンサーもいれば、ダンス・歌・楽器演奏といったパフォーマンス動画を投稿するなど、話題づくりが得意なインフルエンサーもいます。
特筆すべきは、得意な投稿スタイルによって視聴後のフォロワーが起こすアクションに違いがみられる点です。
商品レビューが得意なインフルエンサーなら、購買やダウンロードなどが期待できますし、パフォーマンス動画の投稿が得意なインフルエンサーなら、「いいね!」やコメントの増加が見込めます。
つまり、施策の目的が売上アップか「いいね!」の獲得なのかで、起用すべきインフルエンサーが変化するのです。
あらかじめ施策の目的、すなわち「どのようなマーケティング効果を期待するのか」を定めておくことで、インフルエンサーに求める条件がより明確になるうえ、プロモーションの方向性がズレてしまうリスクを予防することができます。
インフルエンサーをキャスティングする4つの方法
インフルエンサーをキャスティングする主な方法は、以下の4つです。
- 直接インフルエンサーに依頼する
- 所属事務所・プロダクションを介してオファーする
- マッチングプラットフォームを活用する
- インフルエンサーキャスティング会社に依頼する
ここからは、上記4つのキャスティング方法にはどのようなメリット・デメリットがあり、どのような企業に向いているのかを個別に解説していきます。
直接インフルエンサーに依頼する
以下の項目に当てはまる場合は、直接インフルエンサーに依頼する方法がおすすめです。
- 費用をかけずにインフルエンサーを選定したい
- 手間をかけてでも自分で適任者を見つけたい
- すでにお目当てのインフルエンサーが決まっている
- インフルエンサーの適正を判断するノウハウを持っている
- インフルエンサーマーケティングを成功させるスキルを持っている
- 何度もインフルエンサーマーケティングに成功している
- 社内に専任の担当者がいる
- SNSのアップデートによる影響を、常に把握している
- 業界やSNSごとのトレンドを熟知している
直接インフルエンサーに依頼する方法の最大のメリットは、費用が最小限で済むことです。
ただし、インフルエンサーの選定は素人にとって難易度が高いため、高いレベルのスキルとノウハウが欠かせません。
所属事務所・プロダクションを介してオファーする
一方、以下の項目に当てはまる場合は、所属事務所・プロダクションを介してオファーする方法が向いています。
- すでにお目当てのインフルエンサーが決まっている
- インフルエンサーマーケティングを成功させるスキルを持っている
- 何度もインフルエンサーマーケティングに成功している
- 社内に専任の担当者がいる
- SNSのアップデートによる影響を、常に把握している
- 業界やSNSごとのトレンドを熟知している
所属事務所・プロダクションを介してオファーする方法は、教育が行き届いた人材をキャスティングできる、契約中に連絡を絶たれるリスクがすくないといったメリットがあります。
その一方で、あくまでキャスティングがメインなので、インフルエンサーマーケティングそのものに対して受けられるサポートは限定的です。
マッチングプラットフォームを活用する
マッチングプラットフォームを活用する方法が向いているのは、以下の項目に当てはまる企業です。
- 適切なインフルエンサーを見極める方法が分からない
- インフルエンサーの選定に時間をかけたくない
- 複数の候補者ピックアップして欲しい
- 適切なインフルエンサーが見つかるなら、多少のコストは許容できる
- インフルエンサーマーケティングを成功させるスキルを持っている
- 何度もインフルエンサーマーケティングに成功している
- 社内に専任の担当者がいる
- SNSのアップデートによる影響を、常に把握している
- 業界やSNSごとのトレンドを熟知している
マッチングプラットフォームを活用するメリットは、短時間で大量の候補者を提案してもらえて、なおかつ契約がテンプレート化されていることです。
ほとんどオンラインで完結するため、どこからでも依頼することができます。
ただし、あくまで企業とクリエイターをマッチングするためのツールなので、インフルエンサーマーケティングにおけるサポートは限定的です。
効果分析やレポートの管理など、サービスの中に含まれているサポート範囲を確認しておきましょう。
インフルエンサーキャスティング会社に依頼する
以下の項目に当てはまる場合は、インフルエンサーキャスティング会社に依頼する方法がおすすめです。
- 初めてインフルエンサーマーケティングに挑戦する
- 初めてではないが、満足できる成果が出ていない
- インフルエンサーの適正を判断するノウハウを持っていない
- インフルエンサーマーケティングを成功させるスキルを持っていない
- 社内に専任の担当者がいない
- SNSのアップデートによる影響を把握していない
- 業界やSNSごとのトレンドに疎い
- 成功率が高いなら、初期投資は許容できる
- 実際にプロのやり方を見て学びたい
- すべての業務をプロに代行して欲しい
インフルエンサーキャスティング会社に依頼する最大のメリットは、高確率で最適な人材をアサインできることです。
さらに、ほとんどのインフルエンサーキャスティング会社は、人材の選定だけにとどまらず、インフルエンサーマーケティングのサポート業務も請け負っています。
そのため、企画立案や効果分析をはじめ、効果を最大化できる施策の提案など、一連の業務をトータルでサポートして欲しい企業におすすめです。
インフルエンサーキャスティング会社に依頼するメリット
インフルエンサーキャスティング会社に依頼するメリットとして、以下の4点が挙げられます。
- プロが過去データを元に最適なキャストを選定
- マネジメントや効果分析も任せられる
- SNSマーケティングを提案
- 炎上やステマ対策も対応
順番に解説していきます。
ちなみに、インフルエンサーキャスティング会社のメイン業務はあくまで適切なインフルエンサーをアサインすることですが、そのほとんどがインフルエンサーマーケティングの代理店業務も兼任しているのが実情です。
得られるメリットもほぼ重複していますので、より詳しく解説している以下の記事もあわせて参考にしてください。
プロが過去データを元に最適なキャストを選定
インフルエンサーキャスティング会社に依頼することで得られるメリットのメリットは、何と言ってもキャスティングのマッチング精度の高さです。
これまでキャスティングしてきた事例をデータ化して蓄積しているため、よりマッチング精度をあげるためには、どのような条件を付加すれば良いのか熟知しています。
具体的には、ブランドイメージや商品のターゲット層、ライフスタイルや好みの傾向など、多くのフィルターで振るいにかけて最終的に残った最適な人材を提案しているのです。
マネジメントや効果分析も任せられる
スケジュール管理や他の案件を受注した際の影響など、マネジメント全般を任せられるのも、インフルエンサーキャスティング会社に依頼する大きなメリットです。
さらに、推薦したインフルエンサーが想定通りの成果をあげているか、もしくは期待値を下回っていないか効果を分析し、レポートで提出してくれます。
直接インフルエンサーに依頼した場合は、これらの作業をすべて自社で行わなければなりません。
SNSマーケティング施策について提案してくれる
SNSマーケティング施策について提案してもらえるのも、インフルエンサーキャスティング会社に依頼する代表的なメリットです。
前述した通り、インフルエンサーキャスティング会社の中には、SNSマーケティングの代理店業務を兼任している会社も珍しくありません。
そもそも、インフルエンサーキャスティングはインフルエンサーマーケティングの一業務であり、一連の流れや成果をあげる仕組みを把握していなければ、最適な人材を選定できないのです。
そのため、大がかりなキャンペーンでは複数のインフルエンサーを同時に起用する、あるいは異なるSNSを跨いてコラボ企画を実施するなど、目的にコミットした企画を提案しています。
炎上やステマ対策も対応
企業がインフルエンサーキャスティング会社に依頼して得られる4つ目のメリットは、炎上やステマ対策に対応してもらえるという点です。
ひとたびSNS上で悪評が立つと、その真相や是非にかかわらず瞬く間に拡散されてしまいます。
とくに2023年(令和5年)10月1月からはステマ規制がスタートしているため、わずかなミスが致命的なダメージに繋がりかねません。
その点、インフルエンサーキャスティング会社に人選を依頼した場合は、クリエイターが不適切な言動や行動をしないように対策を講じてくれるので安心です。
なお、ギフティングとステマの関係性については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
インフルエンサーキャスティング会社に依頼するデメリット
インフルエンサーキャスティング会社への依頼を検討する際は、以下のデメリットについても理解しておきましょう。
- 手数料などコストがかかる
- スペックに差がある
インフルエンサーの人選をプロに仕事として依頼する以上、費用が発生するのは避けられません。
問題は、インフルエンサーキャスティング会社によってスペックに差があることです。
なかには、高額な料金を支払ったのにインフルエンサーが熱心にPRしてくれない、といった失敗事例も報告されています。
インフルエンサーキャスティング会社の選び方については、以下の記事で詳しく解説しております。
おすすめのインフルエンサーキャスティング会社もご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
まとめ:自社に合った方法でインフルエンサーをキャスティングしよう!
この記事では、インフルエンサーキャスティングについて、あらゆる角度から解説してきました。
インフルエンサーマーケティングにおいて、適切な人材をアサインできるかどうかは、成否を決定づけるほど重要な要素です。
だからこそ、自社にとって最適な方法でキャスティングする必要があります。
インフルエンサーキャスティングを行う場合は、ぜひこの記事でご紹介した情報をお役立てください。
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